一 被告人等がAの恐喝につきAと共謀した事實が認定せられる以上、たとえ、右被告人等が、Aの恐喝の實行行爲に現實に加擔した事實がなくとも、共同正犯の罪責を免れないことは、既に當裁判所の判例の示すところによつて明らかである。 二 連合國軍事占領裁判所に事件繋屬中の被告人の拘禁は、刑事訴訟法所定の未決勾留でないことは勿論であつて、原審がこの間の拘禁日數を本刑に算入しなかつたのは、もとより當然である。
一 實行行爲を分擔しなかつた恐喝共謀者の責任 二 連合國軍事占領裁判所における拘禁と未決勾留日數の通算
刑法249條,刑法60條,刑法21條
判旨
実行行為に直接加担していない者であっても、共謀の事実が認められれば、共同正犯(刑法60条)としての罪責を負う。恐喝罪において、他人の物資を強硬手段で取得する計画を察知し、情報提供や道案内を通じて参画した事実は共謀にあたる。
問題の所在(論点)
実行行為に直接加担していない者が、共謀の事実のみをもって刑法60条の共同正犯として処罰されるか。また、情報提供や道案内という行為が恐喝罪の共謀にあたるか。
規範
刑法60条の共同正犯が成立するためには、必ずしも全員が実行行為を分担することを要しない。数人が特定の犯罪を行う目的で共謀し、その共謀に基づいて一部の者が実行行為に及んだ場合、実行行為に直接加担しなかった者も、共謀に基づく行為の全体について責任を負う(共謀共同正犯)。
重要事実
被告人B、C、Dは、首謀者Aによる隠退蔵物資の摘発が、実際には摘発に名を借りて他人の保管物資を強硬手段で取得する(恐喝する)ものであることを察知していた。その上で、Bらは相談の上、Aに対して隠匿物資の所在に関する情報を提供し、現場への道案内を引き受けるなどして、Aとの間で本件恐喝に参画する謀議を遂げた。その後、Aらは実行行為に及んだが、B、C、Dは現場で直接的な恐喝行為(実行行為)には加わらなかった。
あてはめ
被告人B、C、Dは、Aの計画が非合法な恐喝であることを認識しながら、情報の提供や道案内という役割を分担することに合意しており、本件恐喝に参画する謀議があったと認められる。この場合、たとえ被告人らが恐喝の実行行為(脅迫や財物の交付要求)に直接加担していなくとも、共謀の事実が認定される以上、共謀共同正犯としての成立を妨げない。被告人らは単なる幇助にとどまらず、自己の犯罪として犯罪遂行に寄与したものと解される。
結論
被告人B、C、Dに恐喝罪の共同正犯が成立する。実行行為に直接加担していないことを理由に罪責を免れることはできない。
実務上の射程
共謀共同正犯の理論を確立した初期の重要判例の一つ。答案上では、実行行為に一部の者が関与していない場合に、(1)共謀、(2)共謀に基づく実行、という要件を立てて論証する際の根拠となる。情報提供や下準備といった補助的な行為であっても、重大な関与として共謀が認められれば共同正犯となり得る点に注意が必要である。
事件番号: 昭和26(れ)2276 / 裁判年月日: 昭和27年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀による恐喝の実行中、その意図を察して加担した者が脅迫行為を行い、当初からの共謀者による脅迫と相俟って被害者を畏怖させ財物を交付させた場合、共謀加担者を含む全員について恐喝罪の既遂が成立する。 第1 事案の概要:被告人はA、Bらと共謀し、Cを脅迫して金員を喝取しようと考え、Cに対し脅し文句を並べ…