判旨
共謀共同正犯の成立を認めるに当たり、犯罪事実の摘示として共謀の日時・場所および共犯者の氏名を判決書に具体的に表示する必要はない。
問題の所在(論点)
刑法60条の共同正犯の成立を認める際、犯罪事実の適示において、共謀が成立した詳細な日時、場所、および氏名を判示する必要があるか。
規範
共謀共同正犯の事実に係る判決書の適示においては、共謀が成立した具体的な時間、場所、および共犯者の氏名を特定して摘示する必要はないものと解する。
重要事実
被告人が自ら脅迫の言動に及んだ事実に加え、他の者との共謀があったとして起訴された事案である。上告人は、原判決において共謀の時間、場所、および共犯者の氏名が具体的に摘示されていない点について、事実認定の不備を主張して上告した。
あてはめ
原判決の挙示する証拠によれば、被告人が脅迫の言動に及んだことが認められ、犯罪事実は十分に特定されている。当裁判所の判例(昭和23年(れ)第351号)に照らせば、共謀の時間や場所を判決に摘示する必要はない。また、同様の論理から共犯者の氏名についても特定して記載することを要しないと解するのが相当である。
結論
本件共謀の事実認定において日時・場所・氏名の摘示がないとしても違法ではなく、上告を棄却する。
実務上の射程
訴因の特定(刑訴法256条3項)や犯罪事実の摘示(同335条1項)において、共謀の詳細は構成要件的評価に直結する範囲で足り、過剰な具体性は不要とされる。答案上は、共謀の存在を推認させる間接事実の摘示をもって足りると論じる際に引用可能である。
事件番号: 昭和24(れ)832 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】恐喝罪の成立を認定するにあたり、共犯者である「幹部」や「若い者」の氏名、人数、共謀の日時・場所等が具体的に特定されていなくとも、犯罪の構成要件を充足する事実が認められる限り、判決に理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:被告人が暴力団A組に属しているという事実に基づき、同組の幹部からの指示を受け…
事件番号: 昭和25(れ)1159 / 裁判年月日: 昭和25年10月3日 / 結論: 棄却
所論中には、本件日本刀の所持の点につき被告人がさきに連合国占領軍の軍事裁判所において処罰ずみの趣旨の陳述があるが、仮りにそのような事実があつたとしても軍事裁判所は我が国の裁判ではないので本件に既判力を及ぼすものではないので問題とはならない。