犯罪の場所については犯罪構成要件に属しないから、犯行の同一性を特定し相当法条を適用し得る程度の判示があれば足りることは当裁判所判例の存するところである(昭和二四年(れ)第一七、五〇号同年一二月二二日。第一小法廷)。
犯罪場所の判示の程度
刑訴法335条1項
判旨
犯罪の日時、場所、方法は、原則として訴因の特定に必要な事項であるが、犯罪の場所については、犯罪構成要件に属しないため、犯行の同一性を特定し相当法条を適用し得る程度の判示があれば足りる。
問題の所在(論点)
判決書において「犯罪の場所」をどの程度具体的に特定して判示する必要があるか。場所の記載の不備が、直ちに判決に影響を及ぼす違法となるかが問題となる。
規範
犯罪の場所については、犯罪構成要件に属しない。したがって、判決における事案の判示においては、厳密な場所の特定は必ずしも必要ではなく、犯行の同一性を特定し、かつ相当な罰則(法条)を適用し得る程度の記載があれば、判示として十分である。
重要事実
被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、判決書における「犯罪の場所」の記載に不備または誤りがあるとして、弁護人が理由不備および事実誤認を理由に上告した事案。具体的な犯行態様や場所の詳細は判決文からは不明であるが、被告人側は場所の特定が不十分であることを違法として主張した。
あてはめ
犯罪の場所は、犯罪の成立を左右する構成要件そのものではない。本件において、仮に場所の判示に所論のような不備があったとしても、その記載によって犯行の同一性が識別でき、かつ適用すべき法条を判断することが可能であるならば、実体判決としての有効性に欠けるところはない。したがって、当該不備は原判決を破棄すべき影響を及ぼすものとは認められない。
結論
判決に犯罪の同一性の特定と法条適用の判断が可能な程度の判示があれば、場所の特定に多少の不備があっても違法とはいえない。
実務上の射程
訴因の特定(刑事訴訟法256条3項)や判決の罪となるべき事実の判示(335条1項)において、日時・場所・方法は「できる限り」特定すべきとされるが、実務上は「犯行の同一性の識別」と「被告人の防御の範囲の画定」に支障がない限り、多少の概括的記載も許容されるという判断枠組みの基礎となる。
事件番号: 昭和25(れ)1908 / 裁判年月日: 昭和26年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯の成立を認めるに当たり、犯罪事実の摘示として共謀の日時・場所および共犯者の氏名を判決書に具体的に表示する必要はない。 第1 事案の概要:被告人が自ら脅迫の言動に及んだ事実に加え、他の者との共謀があったとして起訴された事案である。上告人は、原判決において共謀の時間、場所、および共犯者の氏…