判旨
第一審の審理方法が刑事訴訟法の精神に副わない不適切な点を含んでいたとしても、その事実のみをもって直ちに審理または判決が違法であると断定することはできない。
問題の所在(論点)
第一審の審理方法が刑事訴訟法の精神に副わない不適切な態様であった場合に、そのこと自体が直ちに審理または判決を違法とする理由になるか。
規範
第一審における審理の進め方が、刑事訴訟法の理念や精神に必ずしも合致しない不適切な側面を有していたとしても、その一事をもって直ちに当該審理手続やそれに基づく判決が法令に違反する違法なものとなるわけではない。
重要事実
被告人が上告し、第一審の審理方法が刑事訴訟法の精神に副わないものである旨を主張した事案。記録上、第一審の審理方法には確かに刑訴法の精神に副わないところが認められたが、それが直ちに判決の違法に直結するか、あるいは刑訴法411条の職権破棄事由に該当するかが争点となった。
あてはめ
本件において、記録を精査すると第一審の審理方法に刑訴法の精神に副わない不適切な箇所が認められる。しかし、大法廷判決(昭和25年12月20日)の趣旨に照らせば、審理の在り方が不適当であることと、その手続や判決が直ちに法令違反として違法になることは別個の問題である。本件の審理態様は不適切ではあるものの、判決そのものを違法として破棄すべき事由には当たらないと解される。
結論
第一審の審理方法に不適切な点があっても、直ちに審理や判決が違法となるものではない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における手続的瑕疵が「精神に副わない」程度の抽象的な不適切さにとどまる場合、それが直ちに具体的法令違反(無効・破棄事由)を構成するわけではないことを示している。実務上は、単なる不当性ではなく、具体的な条文違反や訴訟手続の法令違反を特定して主張する必要がある。
事件番号: 昭和25(あ)247 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が憲法違反を主張するものであっても、その実質が刑事訴訟法上の違法又は刑訴法411条該当性を主張するにすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に憲法違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、実質的には刑事訴訟法上の手続違背や、…