判旨
第一審の公判調書における訴訟手続の記載方法に関する原判決の判断に憲法違反はなく、裁判官が独立して職権を行使しなかった事実や証拠に基づかない事実認定があったとする主張は前提を欠き、棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
刑訴法291条2項等の訴訟手続に関する公判調書の記載方法への異議が憲法31条違反の上告理由となるか。また、原判決において裁判官の独立性欠如や証拠に基づかない認定という憲法違反の事実が認められるか。
規範
憲法31条(適正手続の保障)および憲法76条3項(裁判官の独立)の違反が認められるためには、具体的かつ客観的な事実に基づき、訴訟手続の不当性や裁判官の独立性欠如が立証されなければならない。また、上告審において憲法違反を主張する場合、判決に影響を及ぼすべき事実の誤認や手続の違憲性を適法な理由として提示する必要がある。
重要事実
被告人が第一審の訴訟手続(刑事訴訟法291条2項の罪状認否および刑訴規則197条1項の証拠調べ)について、公判調書の記載方法を不服とし、原判決の解釈を争った。また、原審が控訴趣意の判断において良心に従い独立して職権を行わず、証拠に基づかない判決をしたとして憲法違反を主張して上告した。
あてはめ
第一審における訴訟手続が実施されたことは極めて明白であり、公判調書の記載方法に関する解釈の相違は実質的に訴訟手続の評価を争うものに過ぎず、適法な上告理由とならない。また、裁判官が独立して職権を行使しなかった事実や、虚無の証拠により判決した事実は記録上認められず、憲法違反の前提を欠く。
結論
本件上告には適法な理由がなく、原判決に違法はないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
公判調書の記載形式の不備を憲法31条違反に結びつける主張は、具体的な手続侵害の事実が明白でない限り困難である。また、裁判官の独立性(76条3項)や事実認定の適正さを争う場合、抽象的な批判ではなく記録上の具体的な証拠に基づかなければならない。
事件番号: 昭和27(あ)6386 / 裁判年月日: 昭和29年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法31条違反の主張が実質的に証拠の取捨選択や証明力の判断を非難するに過ぎない場合、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の維持した第一審判決に対し上告を申し立てた事案。弁護人は、第一審判決の証拠の取捨選択および証明力の判断が不当であることを理由に、憲法31条違反および事…