判旨
憲法31条違反の主張が実質的に証拠の取捨選択や証明力の判断を非難するに過ぎない場合、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠の取捨選択や証明力の判断に対する非難を憲法31条違反として主張することが、刑事訴訟法405条の上告理由に該当するか。
規範
刑事訴訟法405条所定の上告理由において、憲法31条違反を主張する場合であっても、その実質が証拠の取捨選択または証拠の証明力に対する判断を不服とするものであり、あるいは単なる事実誤認の主張に過ぎないときは、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人が原判決の維持した第一審判決に対し上告を申し立てた事案。弁護人は、第一審判決の証拠の取捨選択および証明力の判断が不当であることを理由に、憲法31条違反および事実誤認を主張した。
あてはめ
弁護人の主張は憲法31条違反を掲げているものの、その実質は第一審判決の証拠の取捨選択や証明力の判断を非難するもの(所論第一点)および単なる事実誤認の主張(所論第二点)である。記録を調査しても、第一審判決の証拠に基づいた事実認定には十分な根拠があり、それを是認した原判決に違法は認められない。したがって、これらの主張は刑訴法405条の上告理由を構成しない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験において、事実認定の不当性を憲法違反にこじつけて上告・不服申し立てをする論理に対する牽制として、形式的な憲法違反の主張と実質的な事実誤認の主張を峻別する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和29(あ)377 / 裁判年月日: 昭和30年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告の理由が原審の認定に反する事実を前提とする場合、または単なる刑訴法の解釈問題であって上告理由に該当しない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てたが、その主張の第一点は、原審が認定した事実とは異なる事実を前提として判例違反を主張するものであった。また、第二点は…