判旨
刑事訴訟における犯罪事実の認定が証拠によらず単なる推定に基づくものであるとの主張は、憲法31条違反の形式をとっても実質的には証拠裁判主義(刑訴法317条)違反の主張であり、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠に基づかない事実認定がなされたという主張が、憲法31条違反として刑訴法405条の上告理由に該当するか。
規範
憲法31条違反を主張していても、その実質が「証拠によらないで単なる推定で犯罪事実を認定した」という刑事訴訟法317条違反(証拠裁判主義違反)の主張に帰する場合には、刑訴法405条所定の適法な上告理由とは認められない。
重要事実
上告人は、第一審判決が証拠に基づかず単なる推定によって犯罪事実を認定したことが憲法31条に違反すると主張して上告を申し立てた。判決文からは具体的な事件の内容や認定された事実の詳細は不明である。
あてはめ
上告人は憲法31条違反を名目に掲げているが、その主張の核心は、裁判所が証拠に基づかずに事実を認定したという点にある。これは刑事訴訟法317条が定める証拠裁判主義の問題であり、訴訟法上の違反を憲法違反に仮託して主張しているに過ぎない。したがって、最高裁判所が判断すべき憲法問題には実質的に該当しないと評価される。
結論
本件上告は適法な上告理由を備えていないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事上告審において、事実誤認や証拠裁判主義違反を憲法違反に強引に結びつけて主張しても、形式的な憲法違反の主張として受理されないことを示す。司法試験の答案上では、上告理由の適法性を論じる際や、証拠裁判主義の重要性を間接的に言及する場面で参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)3211 / 裁判年月日: 昭和28年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審の公判調書における訴訟手続の記載方法に関する原判決の判断に憲法違反はなく、裁判官が独立して職権を行使しなかった事実や証拠に基づかない事実認定があったとする主張は前提を欠き、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人が第一審の訴訟手続(刑事訴訟法291条2項の罪状認否および刑訴規則197…