判旨
有罪判決における事実摘示は、完全無欠である必要はなく、刑事訴訟法335条1項の要請を満たす程度に示されていれば適法である。また、適法な事実摘示が行われている場合には、憲法31条の適正手続に反することはない。
問題の所在(論点)
有罪判決における事実摘示が不十分である場合、刑事訴訟法335条1項違反、ひいては憲法31条違反となるか。
規範
刑事訴訟法335条1項は「罪となるべき事実」の判示を求めているが、その事案において特定の構成要件に該当することを明らかにするに足りる事実が摘示されていれば足り、記述が完全無欠でなくても同条の違法は認められない。
重要事実
被告人が第一審で有罪判決を受けた際、その事実摘示に不備があるとして上告された事案。弁護人は、第一審判決の事実摘示が不十分であり、それを是認した原判決は憲法31条が定める適正手続に違反すると主張した。
あてはめ
本件第一審判決の事実摘示は、必ずしも「完全無欠」と言い得るものではなかった。しかし、被告人の行為を特定し有罪の根拠を示すという同条の趣旨に照らせば、法律上必要とされる事実は摘示されており、刑訴法335条に違反する不備はないと判断される。したがって、適法な手続によって事実が認定されている以上、憲法31条違反の前提を欠く。
結論
本件事実摘示は刑訴法335条1項に違反せず適法であり、憲法31条違反の主張は理由がない。
実務上の射程
判決書の事実摘示における軽微な不備が直ちに憲法違反や違法な判決とならないことを示す。実務上、事実適示の程度を争う際の基準(構成要件該当性の判断に必要な程度の記載があれば足りるという基準)として参照される。
事件番号: 昭和25(あ)953 / 裁判年月日: 昭和25年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公判廷における検察官の冒頭陳述は、証拠によって立証しようとする事実を逐一具体的かつ明確に陳述することまでを要するものではない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の公判手続において、検事の冒頭陳述が不十分である(証拠によって立証せんとする事実を逐一具体的に明確に陳述していない)と主張して控訴した事案…