判旨
上告審において、原判決の認定していない事実を前提として、被告人の行為が恐喝罪(刑法249条)に当たらないとする主張は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、原判決が認定していない事実を前提として、罪の成否を争う主張が適法な上告理由となるか。
規範
上告審は事後審としての性格を有し、その審判対象は原判決の判断の適否である。したがって、原判決が認定していない事実を前提として、その事実関係に基づけば罪が成立しない旨を主張することは、刑訴法上の適法な上告理由(法律違反や重大な事実誤認等)を構成しない。
重要事実
被告人が恐喝罪として起訴され、下級審において有罪判決を受けた。これに対し被告人は、最高裁判所への上告に際し、原判決が認定していない事実を新たに提示した上で、それらの事実に照らせば自身の行為は恐喝には当たらないと主張した。
あてはめ
被告人の主張は、原判決の認定した事実を争うのではなく、原判決がそもそも認定していない事柄を前提とするものである。このような主張は、原判決に示された法適用の誤りや事実誤認を直接的に指摘するものではなく、上告審の審判対象から外れるものである。したがって、旧刑訴法446条の観点からも不適法な主張といえる。
結論
本件上告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審における上告理由の適格性に関する判示である。司法試験の刑事訴訟法において、上告審の構造(事後審制)を論じる際や、上告理由の制限について言及する際の基礎となる。実務上は、原判決の認定事実に拘束される上告審の性格を明確にするものである。
事件番号: 昭和25(れ)1322 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法上、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原判決には事実誤認(第一点・第二点)および量刑不当(第三点)があるとして、最高裁判所に上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量刑不当の主張が、刑事訴訟法(施行法を含む…