判旨
逮捕手続の違法は、上告審における適法な上告理由とはならず、また原審で主張されていない憲法違反の主張も上告理由の適法要件を欠く。
問題の所在(論点)
逮捕手続の違法が、刑訴法上の適法な上告理由となるか。また、原審で主張されていない憲法違反を上告審で新たに主張できるか。
規範
逮捕手続に違法があったとしても、それは判決そのものを破棄すべき理由とはならず、刑訴法上の上告理由とは認められない。また、控訴審で主張されず原判決が判断していない事項に関する憲法違反の主張は、適法な上告理由の要件を欠く。
重要事実
被告人が逮捕手続の違法や憲法違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、憲法違反の主張は原審において控訴趣意として主張されておらず、原判決は何ら判断を示していなかった。また、弁護人は逮捕手続の違法についても上告理由として主張していた。
あてはめ
最高裁の判例によれば、逮捕手続の違法は上告理由とすることができない。本件における憲法違反の主張は、原審で控訴趣意とされておらず、原判決の判断対象となっていなかったため、上告理由の適法要件を欠くといえる。職権調査(刑訴法411条)を適用すべき事情も認められない。
結論
本件上告は棄却される。逮捕手続の違法は上告理由にならず、原審で主張のない憲法違反の主張も不適法である。
実務上の射程
手続的違法(特に逮捕段階)が判決に影響を及ぼすべき違法(刑訴法379条等)とならない限り、上告理由とはならないという準則を示す。実務上、捜査段階の違法は証拠能力の問題等を通じて争うべきであり、上告審で直接に手続違法を独立の破棄事由とするのは困難である。
事件番号: 昭和27(あ)5210 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張・判断されていない第一審の訴訟手続違背を上告理由とすることはできず、また、事実誤認を前提とした憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し控訴したが、控訴審判決後、上告審において新たに第一審の訴訟手続に違反がある旨を主…
事件番号: 昭和27(あ)1183 / 裁判年月日: 昭和28年7月22日 / 結論: 棄却
第一審判決の採用した証拠が刑訴三二八条の証拠として検察官により提出されたことは認められるが、原審は事実の取調として所論の二証人を含む計一三名の証人と被告人本人を各尋問した上これらの証拠に基いて第一審判決を維持したのであるから、なんら違法を認めることはできない。
事件番号: 昭和26(あ)3297 / 裁判年月日: 昭和28年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、事実誤認の主張や逮捕時の警察官の行動に対する非難は、憲法違反をいうものであっても適法な上告理由には当たらないとしている。 第1 事案の概要:被告人が逮捕された際、警察官が何らかの行動をとったが、弁護人はその逮捕当時の警察官の行動を非難し、併せて憲法違反や事実誤認を主張して上告を申し立てた…