所論中には、本件日本刀の所持の点につき被告人がさきに連合国占領軍の軍事裁判所において処罰ずみの趣旨の陳述があるが、仮りにそのような事実があつたとしても軍事裁判所は我が国の裁判ではないので本件に既判力を及ぼすものではないので問題とはならない。
連合国占領軍軍事裁判所の裁判の既判力は日本の裁判所の裁判に及ぶか
旧刑訴法363条1号
判旨
共謀共同正犯の成立要件である共謀の事実を認定するためには、共犯者間での意思の連絡があったことを認定すれば足り、必ずしも共謀の日時、場所、方法等の詳細な態様について個別に証拠を挙げて判示することを要しない。
問題の所在(論点)
共謀共同正犯の成立に必要な「共謀」の事実を認定するにあたり、共謀の日時、場所、方法等の詳細な態様についてまで具体的な証拠を挙げて判示する必要があるか。
規範
共同正犯(刑法60条)における共謀の事実を認定するには、犯行につき共犯者間において「意思の連絡」があったことを認定すれば足りる。必ずしも共謀の具体的な機会、場所、方法といった詳細な態様について、個別に証拠を挙げて説示することまでは要しない。
重要事実
被告人Aは、Eと共謀の上、共同して犯行に及んだとして起訴された。原審は、証人の公判調書や司法警察官による聴取書に基づき、被告人とEとの間に本件共同犯行につき意思の連絡があったと認定した。これに対し弁護側は、原判決が「いつ、どこで、どのような方法で共謀したか」という具体的な共謀の態様について証拠を挙げていないため、事実誤認の違法があると主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)1759 / 裁判年月日: 昭和25年1月10日 / 結論: 棄却
論旨は、審理の冒頭における概括的な犯罪事実の承認によつて、犯罪事實の内容に亘り全部を認めたものとすることはできないと主張するなるほど、被告人が概括的の問答では犯罪事實を認めても、個々の點についてはこれに反する供述をしたような場合には、冒頭の答えだけで細部に亘る悉くの事實を認めたものとは云い難いこともあらう。しかしその何…
あてはめ
本件において、原判決が挙示している証人(横山、F等)の公判調書や、関係者(G等)の聴取書の内容を総合すれば、被告人とEとの間に犯行についての意思の連絡があったと認められる。共謀という心理的事実は、客観的な外部的状況や関係者の供述から推認されるものであり、その成立(意思の連絡)が証拠に基づき合理的に認められる以上、弁護人が主張するような共謀の個別具体的なプロセス(日時、場所、方法等)のすべてを逐一証拠によって特定・説示する必要はない。
結論
共謀の事実の認定において、共謀の詳細な態様について個別に証拠を挙げて説示する必要はない。したがって、意思の連絡を認定した原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
共謀の具体的態様(日時・場所等)が特定できない場合でも、前後の状況から「意思の連絡」が推認できれば共謀共同正犯が成立することを示す。答案上、共謀の認定において、黙示の共謀や順次共謀を論じる際の事実認定のハードルを画する判例として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1056 / 裁判年月日: 昭和24年8月18日 / 結論: 棄却
一 暴力行爲等處罰ニ關スル法律第一條にいわゆる「多衆ノ威力ヲ示シ」というのは、同條所定の罪の實行行爲擔當者が、多衆を背景にして其の威力を相手方に示すことを必要とする。 二 銃砲等不法所持罪の成立に必要な犯意は、被告人が日本人であることを認識し乍ら、これを自己の實力支配内に置くを以つて足り、その所持の動機の如何は犯意の存…
事件番号: 昭和24(れ)1471 / 裁判年月日: 昭和24年10月25日 / 結論: 棄却
特に彈丸發射不能の状態にあつたものと認むべき事由資料のない限り「モーゼル小型一二連發拳銃」といえば彈丸發射の機能を有する拳銃であること勿論である。被告人が拳銃として使用する意思があつたかどうか及び被告人所持當時彈丸をも共に所持して居たかどうかは本罪成立については問う所でない、拳銃其のものが發射機能を有するものであれば足…
事件番号: 昭和25(れ)1203 / 裁判年月日: 昭和25年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の供述証拠に細部の食い違いがある場合でも、論理則や経験則に反しない限り、自由心証によりその一部を採択して事実認定を行うことは許容される。証拠の総合的な評価は裁判所の合理的な裁量に委ねられている。 第1 事案の概要:被告人と共犯者の各供述において、共謀の発議者、共謀の場所、盗品の処分方法といった…