特に彈丸發射不能の状態にあつたものと認むべき事由資料のない限り「モーゼル小型一二連發拳銃」といえば彈丸發射の機能を有する拳銃であること勿論である。被告人が拳銃として使用する意思があつたかどうか及び被告人所持當時彈丸をも共に所持して居たかどうかは本罪成立については問う所でない、拳銃其のものが發射機能を有するものであれば足りるのである。
「モーゼル小型一二連發拳銃」との判示と彈丸發射の機能の有無―被告人の拳銃使用の意思及び彈丸所持の有無と罪賣
銃砲等所持禁止令1條,舊刑訴法360條1項
判旨
銃砲等所持取締令における拳銃の所持罪の成否に関し、拳銃そのものが弾丸発射の機能を有するものであれば足り、所持者が拳銃として使用する意思を有していることや弾丸を共に所持していることは不要である。
問題の所在(論点)
銃砲等所持取締令(現行の銃刀法に相当)における拳銃所持罪の成立において、(1)所持者に拳銃として使用する主観的な意思が必要か、および(2)弾丸を併せて所持している必要があるか。
規範
拳銃の所持罪が成立するためには、対象物が物理的に弾丸発射の機能を有するものであれば足りる。特段の事情がない限り、特定の型式の拳銃(モーゼル小型一二連発拳銃等)は発射機能を有するものと解され、所持者の主観的な使用意思や、弾丸を併せて所持しているという事実は犯罪成立の要件ではない。
重要事実
被告人は「モーゼル小型一二連発拳銃」を所持していた。被告人側は、上告理由において、当時拳銃として使用する意思がなかったこと、および弾丸を共に所持していなかったことを主張し、罪の成立を争った。なお、当該拳銃が物理的に発射不能の状態にあったことを認めるべき具体的な事由や資料は存在しなかった。
事件番号: 昭和24(れ)2032 / 裁判年月日: 昭和24年6月11日 / 結論: 棄却
一 廢銃即ち屑物となつたものでない限りは、使用停止その他故障の爲め一時拳銃としての機能に障害のあるものであつても、通常の用法に依る手入又は修理を施せば能機を回復するものは、銃砲等所持禁止令施行規則第一條第一號に所謂「銃砲とは、弾丸發射の機能を有する装藥銃砲をいう」ものに該當することは、多言を要しないところであろう。蓋し…
あてはめ
本件で被告人が所持していた「モーゼル小型一二連発拳銃」は、発射不能と認めるべき特段の事情がない限り、客観的に弾丸発射機能を有する「拳銃」に該当する。被告人がこれを使用する意思を持っていたか、あるいは実弾を併持していたかは、所持という行為の態様や客観的な危険性に影響するものではなく、犯罪の成立を左右しない。したがって、物理的機能を有する拳銃を所持している以上、同罪が成立するといえる。
結論
拳銃所持罪の成立には、客観的な発射機能があれば足り、使用意思や弾丸の併持は不要である。本件上告は棄却される。
実務上の射程
銃刀法違反(所持)の客体における「機能」の判断基準を示すものである。物理的な殺傷能力(発射機能)の有無が重要であり、主観的な目的や即時使用可能性(実弾の有無)を問わないという実務上の基本的な立場を明示している。答案作成上は、客体の「銃砲」該当性を検討する際、物理的機能の有無のみを検討すれば足りる根拠として引用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1502 / 裁判年月日: 昭和24年11月10日 / 結論: 棄却
銃砲等所持禁止令違反罪は、銃砲等を所持するを以て直に成立するものであるから、本件拳銃の所持携帯が、假りに數時間に過ぎなかつたとしても、犯罪の成立を妨げる理由とはならない。
事件番号: 昭和25(あ)2892 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
照準が破棄されていても拳銃の発射機能がないとはいえないし、また、弾丸が伴わなくとも鉄砲所持禁止令違反たるを免れないこと多言を要しない。
事件番号: 昭和23(れ)2033 / 裁判年月日: 昭和24年5月17日 / 結論: 棄却
原判決は被告人がブローニング拳銃一挺を所持していた事實を證據によつて認定している。既にブローニング拳銃というからには、反對の判斷を下すべき特別の理由がない限り、當然に發射機能を具えたものと推断せられる。それ故に原審がその發射機能の有無を特に明確にしなかつたからとて、論旨第一點に主張されているように審理不盡の違法を犯した…
事件番号: 昭和24(れ)1977 / 裁判年月日: 昭和24年11月1日 / 結論: 棄却
一 論旨第一點は、検事は、被告人Aが拳銃一挺を所持した事實につき公訴を提起したのであるのに、原判決が彈倉およびサツクについて有罪を認定したのは、公訴のない事實について、裁判したものであると非難する。しかし彈倉とサツクとは拳銃の附屬品であるから、拳銃所持についての起訴は附屬品所持を含み、原判決がその全部の所持につき斷罪し…