一 被告人が直接被害者から、財物の交付を受けようと、第三者を介してこれを受けようと、恐喝罪の成否に影響するところはない。 二 被告人が恐喝行爲をするに當つて、他に共犯關係に立つものがあつたとしても、被告人の犯罪行爲を判示するには、被告人自身の「罪トナルヘキ事實」を明らかにすればよい。
一 第三者を解して財物の交付を受けた場合における恐喝罪の成立 二 被告人の恐喝行爲についてのみ判示し他の共犯者に觸れない判決の正否
刑法249條,刑訴法360條1項
判旨
恐喝罪の成否において、被告人が直接財物の交付を受けるか、第三者を介して受けるかは影響しない。また、被告人が第三者と共謀して脅迫行為を行わせた場合、被告人の有罪判決には被告人自身の「罪となるべき事実」を明らかにすれば足り、起訴されていない共犯者の罪責まで明らかにする必要はない。
問題の所在(論点)
1.財物の交付が第三者を介して行われた場合に恐喝罪が成立するか。2.判決書において、起訴されていない共犯者の罪責をどこまで詳細に判示する必要があるか(「罪となるべき事実」の適示の程度)。
規範
1.恐喝罪(刑法249条)における財物の交付は、犯人が直接これを受ける場合はもちろん、第三者を介して受ける場合であっても成立する。2.犯罪事実に共犯者が介在する場合、判決においては被告人自身の実行行為や共謀の事実といった「罪となるべき事実」を明示すれば足り、起訴されていない共犯者の具体的な罪責までを確定・判示する必要はない。
重要事実
被告人はAからある話を聞き、これを奇貨として恐喝を決意した(第一事実)。また、被告人はAを介して被害者を脅迫し、Aを介して金員を受領した(第二事実)。被告人は恐喝罪で起訴されたが、Aは起訴されなかった。原審は、被告人がAを介して財物の交付を受けた事実、およびAと共謀して脅迫行為を行わせた事実を認定して有罪とした。これに対し弁護人は、Aの関与態様や罪責が不明確であり理由不備であると主張して上告した。
あてはめ
1.被告人が直接被害者から財物の交付を受けるか、第三者であるAを介して受けるかは、恐喝罪の構成要件充足性に影響を与えない。2.第二事実において被告人がAを介して脅迫した点は、被告人がAと共謀の上、Aに実行行為を行わせたものと解される。3.本件は被告人のみが起訴されており、Aに対する公訴は提起されていない。したがって、原判決が被告人自身の「罪となるべき事実」を明確にしている以上、共犯者Aがどのような罪責を負うかまでを詳細に判示しなくとも、理由不備の違法はない。
結論
被告人が第三者を介して財物の交付を受けた場合でも恐喝罪は成立する。また、被告人の判決において非起訴共犯者の罪責を詳述する必要はなく、原判決に違法はない。
実務上の射程
恐喝罪における交付の相手方の拡張と、共犯事件における判決書の事実適示の程度(被告人自身の犯罪事実の明確化)に関する準則を示す。答案上は、間接正犯的ないし共謀共同正犯的な事案において、被告人自身の実行行為や帰責根拠を認定すれば足りることを説明する際の根拠となる。
事件番号: 昭和24(れ)832 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】恐喝罪の成立を認定するにあたり、共犯者である「幹部」や「若い者」の氏名、人数、共謀の日時・場所等が具体的に特定されていなくとも、犯罪の構成要件を充足する事実が認められる限り、判決に理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:被告人が暴力団A組に属しているという事実に基づき、同組の幹部からの指示を受け…