論旨は名を憲法違反に借りているけれど、畢竟事實審である原審の自由裁量權の範圍に屬する事實認定又は量刑の不當を非難するに歸着し上告適法の理由とならない。
憲法違反に名を借りて事實認定又は量刑不當を非難する上告理由の適否
刑訴應急措置法13條2項
判旨
被告人が他者から詐欺被害を受けたとしても、そのことによって当然に第三者に対する恐喝行為が正当化されるものではなく、恐喝罪(刑法249条)が成立する。
問題の所在(論点)
被害者が過去に別の者(A)から詐欺被害を受けていたという事情がある場合に、第三者(B)に対して行われた恐喝行為について、恐喝罪の成否が妨げられるか。いわゆる自力救済の許容性や違法性阻却の有無が論点となる。
規範
刑法249条の恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合に成立する。仮に加害者側が過去に別の者から詐欺等の被害を受けていたとしても、その事実のみをもって違法性が阻却されたり、構成要件該当性が否定されたりすることはない。不法な利益を追求する目的や、手段の不相当性が認められる限り、処罰の対象となる。
重要事実
被告人がAから詐欺被害に遭った可能性がある状況下において、被告人はAではなくBに対して恐喝行為を行い、財物を交付させた。被告人側はAによる詐欺被害を背景に無罪あるいは量刑不当を主張して上告した。
あてはめ
原審の認定した事実によれば、被告人のBに対する行為は恐喝罪の構成要件を充足している。被告人がAから詐欺されたという事情があったとしても、それはBに対する恐喝罪の成立を左右するものではない。法の手続を経ず、威迫等の手段を用いて第三者から財物を交付させる行為は、刑罰をもって禁止されるべき違法な所為であると評価される。
結論
被告人がAに詐欺された事情があるとしても、Bに対して犯した恐喝罪で処罰されるのは当然であり、恐喝罪が成立する。
実務上の射程
自力救済の禁止の原則を確認した判例である。権利行使の一環であっても手段が不当であれば恐喝罪が成立するという法理において、権利自体の存否が疑わしい場合や、無関係な第三者を巻き込む場合には、より峻烈に罪責が問われることを示唆している。答案上は、違法性阻却事由の検討において、自力救済が原則として許されないことを補強する趣旨で引用できる。
事件番号: 昭和42(あ)2324 / 裁判年月日: 昭和43年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利行使の手段として行われた恐喝行為について、その手段が社会通念上許容される範囲を超える場合には、恐喝罪が成立すると解すべきである。また、最高裁判所の意見が大審院の判例に反する場合であっても、既に最高裁判所の判例によって変更されているときは、小法廷で裁判をすることができる。 第1 事案の概要:被告…