第一審裁判所が公判廷外でした証人訊問調書も、弁護人が右訊問に立会してる以上、被告人が当時勾留中でこれに立ち会つていなくても、右調書に対しては刑訴応急措置法第一二条は適用されない。
弁護人の立会した第一審証人訊問調書と刑訴応急措置法第一二条
刑訴応急措置法12条,旧刑訴法158条
判旨
共同正犯が成立するためには、犯罪実行方法の具体的内容について詳細な合意があることは必要ではなく、共同の目的を実現するために共同して犯行を行うという認識があれば足りる。
問題の所在(論点)
共同正犯(刑法60条)の成立要件として、実行方法の具体的内容にまで踏み込んだ詳細な謀議が必要か。また、自ら実行行為の一部を分担しなかった場合に共同正犯としての罪責を負うか。
規範
刑法60条の共同正犯が成立するためには、二人以上の者の間に、犯行の日時・場所・方法等の具体的内容について細部にわたる謀議がなされることまでは必要ない。共同の目的を達成するために、共同して犯罪を実行するという意思(共同実行の認識)が形成されていれば、共謀の成立を認めるに足りる。
重要事実
被告人AおよびCは、共謀のうえ、被害者Bの居宅に侵入して金品を強奪した。被告人Cは、犯行の具体的方法(日時や方法等)について詳細な合意がなかったこと、および自身が直接暴行・脅迫の実行行為に加担していないことを理由に、強盗罪の共同正犯の成立を否定して上告した。
あてはめ
本件において、被告人両名は被害者B宅に押し入って金品を強奪することを共謀し、現に強盗の目的を達している。実行方法の細部(何時何分にどのような手段で行うか等)について具体的な合意がなかったとしても、共同目的を実現する認識があれば共謀が成立すると解される。また、被告人Cが直接暴行・脅迫を行っていないとしても、共同実行の意思に基づいて一連の犯行が行われた以上、一部実行全部責任の原則により強盗罪の共同正犯としての責を免れない。
結論
共同実行の認識があれば足り、実行方法の細部について合意がなくても、また直接の実行行為を担当しなくても、強盗罪の共同正犯が成立する。
実務上の射程
共謀共同正犯における「共謀」の内容を画した重要判例である。答案上では、現場共謀や包括的な合意が問題となる場面において、犯罪の具体的詳細な合意までは不要であることを示す規範として活用できる。あわせて、実行行為を分担しない者についても共謀があれば正犯性を肯定できる根拠となる。
事件番号: 昭和25(れ)173 / 裁判年月日: 昭和25年4月20日 / 結論: 棄却
一 共謀共同正犯は、單なる教唆や從犯と異なり、共謀者が共同意思の下に一体となつて互に他人の行爲を利用してその意思を実行に移すものであり、犯罪の予備、着手、実行、未遂、中止、結果等はすべて共謀者同一体として観察すべきもので、強盜を共謀した者は、自ら実行行爲を分担しなくとも、他の共謀者の実行した強盜行爲の責を免れない。 二…