刑訴應急措置法第一七條については、それが違憲でない旨の直接の判例は存しないけれども、實質上憲法違反の主張をしていない再上告は適法な再上告でない、という判例があるのであつて(昭和二三年(れ)第二一〇號同年七月二九日大法廷判決)、同條の合憲性が認められたものと言い得る。
刑訴應急措置法第一七條の合憲性
訴刑應急措置法17條
判旨
憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、構成等において偏頗のおそれのない裁判所を意味し、上訴審における事実誤認や量刑不当の主張を制限する規定は同条に違反しない。
問題の所在(論点)
憲法37条1項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義。および、上訴理由を制限する法令の規定(刑訴応急措置法・刑訴法施行法)が、被告人の公平な裁判を受ける権利を侵害し違憲となるか。
規範
憲法37条1項にいう「公平な裁判所の裁判」を受ける権利とは、裁判所の構成その他において、審理の不偏不党を害するような偏頗(へんぱ)のおそれがない裁判所による裁判を保障する趣旨である。したがって、上訴において特定の不服申立理由(事実誤認や量刑不当等)を制限し、または特定の法律(刑訴施行法等)を適用すること自体が、直ちに同条の保障する公平性を欠くことにはならない。
重要事実
被告人は、旧刑事訴訟法下で起訴された事件について、事実誤認および量刑不当を理由として再上告を行った。弁護人は、旧刑訴法事件について事実誤認等の判断を認めない刑訴応急措置法13条2項、17条、および昭和23年末までに起訴された事件に旧刑訴法を適用すると定めた刑訴法施行法2条の規定は、憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判を受ける権利」を侵害するものであり、違憲であると主張した。
あてはめ
最高裁判所の判例によれば、「公平な裁判所」とは裁判所の構成等に偏りがないことを指すものであり、本件で争点となった各法令の合憲性は既に判例により確立されている。具体的には、刑訴法施行法2条、刑訴応急措置法13条2項および17条の規定は、いずれも憲法37条1項に違反するものではない。本件上告理由は、これら合憲な規定のもとでは実質的に単なる事実誤認および量刑不当を主張するに過ぎないものである。
結論
憲法37条1項に違反しない。したがって、適法な再上告理由にあたらないため、本件再上告を棄却する。
実務上の射程
憲法37条1項の「公平な裁判所」の定義を問う問題において、裁判所の『組織・構成』の適正さを保障する概念であることを示す際に引用する。また、上訴権の範囲が立法政策に委ねられていることを示唆する文脈でも活用可能である。
事件番号: 昭和25(あ)979 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織および構成を持つ裁判所を指し、個々の裁判の内容が具体的に公正妥当であることを指すものではない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で実刑判決を受けたが、執行猶予を付すべき事情があるとして量刑不当を理由に控訴した。しかし、原審(控…