一 所論刑訴應急措置法第一三條第二項は量刑不當或は事實誤認は上告理由として之を主張することを許さない趣旨を規定したものである。而して右條項は憲法に違反するものでないことは既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第二九〇號同二三年六月三〇日大法廷判決。昭和二二年(れ)第四三号、同二三年三月一〇日大法廷判決) 二 而して科刑は被告人各個人について犯罪の動機情状その他諸般の事情を考慮して決定せられるべきものであつて、從つて相被告人との間に刑に輕重があつても素より何等不公平と言うことはできないのである。(當裁判所昭和二三年(れ)第四三五號同年一〇月六日大法廷判決參照)
一 刑訴應急措置法第一三條第二項の合憲性 二 相被告人との間に刑の輕重がある場合と公平な裁判
參照刑訴應急措置法13條2項,憲法37條1項
判旨
憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の組織構成において偏頗の恐れがないことを意味し、被告人の刑の軽重の主観的不服を指すものではない。また、相被告人の間で量刑に差が生じても、個別の事情を考慮した結果であれば直ちに不公平とはいえない。
問題の所在(論点)
被告人が量刑の結果に対して不満を抱く場合、または相被告人との間に量刑の差異がある場合に、憲法37条1項の「公平な裁判所」に反するか。
規範
憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、その組織・構成において、偏頗な判断を下すおそれのない中立性を備えた裁判所を意味する。また、刑の量定(科刑)は、各被告人の犯罪の動機、情状、その他諸般の事情を個別具体的に考慮して決定されるべき事柄である。
重要事実
被告人が、原審の量刑に対して不服を申し立て、相被告人と比較して自らの刑が重いことなどを理由に、当該裁判が憲法37条1項の保障する「公平な裁判所」による裁判に反すると主張して上告した事案である。
あてはめ
憲法37条1項の趣旨は、裁判所の組織的な中立性を保障する点にあり、被告人が宣告された刑の内容に不服があるといった主観的な事情は、裁判所の公平性を左右するものではない。また、量刑は被告人ごとに個別の動機や情状を総合考慮して決まるべき性質のものである。したがって、相被告人間で刑の軽重が生じたとしても、それが個別の事情に基づくものである限り、不公平な裁判とは評価されない。
結論
本件裁判所は「公平な裁判所」にあたり、相被告人との量刑の差異も憲法違反にはならない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
「公平な裁判所」の定義を組織的・客観的中立性に限定した基本判例である。量刑の不当や相被告人との均衡を理由に憲法違反を主張する場面において、その主張の適格性を否定する際の標準的な規範として活用できる。
事件番号: 昭和22(れ)48 / 裁判年月日: 昭和23年5月26日 / 結論: 棄却
憲法第三七條第一項にいわゆる「公平な裁判所と裁判」とは偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつた裁判所による裁判を意味するものであつて、個々の事件につきその内容實質が具體的に公平妥當なる裁判を指すのではない。從つて所論のように同規定を以て刑の言渡が甚だしく苛酷であるとか事實の認定が間違つている場合にこれを憲法上新に上…