公判廷において裁判長か辯護人の證人申請を却下すると決定を言渡したかどうかのごとき公判期日における訴訟手續については、公判調書のみによつて立證すべきものであつて他の資料によつて立證を許されないものであることは舊刑訴法第六四條の定めているところである。されば所論のように原審第二回公判調書に裁判長は辯護人の證人申請を却下するとの決定を言渡した旨記載されてある以上かゝる決定をしたものと認めざるを得ない。
公判廷における證人申請却下決定の有無と公判調書の證明力
舊刑訴法64條
判旨
公判期日における訴訟手続の有無については、公判調書のみによって立証すべきであり、他の資料による立証は許されない。また、既に十分な証拠がある場合に証人申請を却下して弁論を終結しても、審理不尽の違法とはならない。
問題の所在(論点)
公判期日における訴訟手続の立証方法、および裁判所が必要がないと認めた証人申請を却下することの適法性が問題となる(刑事訴訟法48条2項、297条、312条等の趣旨)。
規範
公判期日における訴訟手続については、公判調書のみによって立証すべきであり、他の資料による立証は許されない(旧刑事訴訟法64条、現行48条参照)。また、裁判所が既に提出された証拠によって事実を認定し得ると判断した場合には、証人申請を却下し弁論を終結させても審理不尽の違法はない。
重要事実
弁護人が公判廷において証人申請を行ったが、裁判長がこれを却下する決定を言い渡した。これに対し弁護人は、証人喚問を行わずに弁論を終結したことは審理不尽の違法であると主張した。なお、原審の第2回公判調書には裁判長が証人申請を却下する旨の決定を言い渡したことが記載されていた。
あてはめ
まず、証人申請却下という訴訟手続の有無は、旧刑訴法64条に基づき、公判調書の記載のみで決すべきである。本件では第2回公判調書に却下の決定をした旨が記載されている以上、適法にその決定があったものと認められる。次に、原判決が挙げた他の証拠群によれば、原判示事実を十分に肯定できる状態にあったといえる。したがって、裁判所が重ねて証人を喚問する必要はないと判断し、弁論を終結したことは、証拠調べの必要性に関する裁量の範囲内であり、不当とは認められない。
結論
公判調書に記載された訴訟手続はそれのみによって証明されるべきであり、十分な証拠に基づき証人申請を却下したことは、審理不尽の違法に当たらない。
実務上の射程
公判調書の絶対的証明力(現行刑訴法52条)に関する典型的な判断を示している。答案上は、公判手続の適法性を争う際に調書の記載が唯一の証拠となることを指摘する場面や、証拠調べ請求の採否に関する裁判所の裁量を論ずる際に活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)755 / 裁判年月日: 昭和23年11月4日 / 結論: 棄却
公判調書に某判事が裁判長判事として列席したと記載してあり、且つ、右調書の末尾に右判事が裁判長判事として署名捺印している場合には、公判調害が虚偽又は偽造であると認むべき事情か存在しない限り、右某判事が裁判長判事として公判に列席したものと認むべきである。