判旨
事実審裁判所が事件の真実を明らかにするために諸般の証拠を取り調べた上で、その証拠調べの限度をいかに決定するかは、裁判所の自由裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
事実審裁判所による証拠調べの要否・限度の決定に関する裁量の有無およびその範囲(刑事訴訟法上の証拠採否の自由)。
規範
裁判所が事件の真実解明を目的として実施する証拠調べにおいて、特定の証拠を採用するか否か、あるいはどの程度の範囲で証拠を調べるかといった判断(証拠調べの限度)は、裁判所の広範な自由裁量に属する。
重要事実
被告人の弁護人は、原審において特定の証人に対する証拠調べを請求したが、原審裁判所はこの請求を却下(許容せず)した。これを不服として、弁護人は原審の判断が違法である旨を主張し、上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、原審裁判所は事件の真実を明らかにするために諸般の証拠を取り調べた上で、弁護人が請求した証人については取り調べる必要がないと判断し、証拠調べを許容しなかった。このような判断は、裁判所に認められた自由裁量の範囲内で行われたものであり、その限度決定に違法性は認められない。
結論
原審が請求にかかる証人の証拠調べを許容しなかったことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における裁判所の証拠採否(刑訴法298条等)に関する基本的スタンスを示す。実務上は、証拠の必要性や関連性を裁判所が判断する際の広範な裁量を肯定する根拠として引用される。ただし、現代の運用では裁量権の逸脱・濫用(必要不可欠な証拠の不当な却下等)がある場合には違法となり得る点に注意を要する。
事件番号: 昭和31(あ)816 / 裁判年月日: 昭和33年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証言等の一部を措信し他の一部を不採用とすることは、独立して分離し得る一部であれば事実審の自由裁量に属する。主尋問と反対尋問の供述が食い違う場合にそのいずれを採用するかについても、裁判所の自由な証拠判断の範囲内である。 第1 事案の概要:被告人が上告理由において、原判決の証拠選択が判例に違反し採証の…