被告人A森林組合連合會の資材課長Bと右連合會の所屬組合以外の者との判示取引はB個人の業務として爲したものではなくBの右連合會の資材課長の資格で右連合會の業務として、而かも反覆して取引をしたものである以上、所屬組合以外の者との取引は右連合會の定款に定めがないとしても、右連合會の業務に關して爲したるものではないといい得ない。從つて、右Bの判示行爲について右連合會が責を負わなければならないこと當然であるから論旨は理由がない。
森林組合連合會の資材課長の資格でなした定款に規定のない組合以外の者との不正取引行爲と同連合會の責任
物價統制令3條
判旨
法人の従業者等が、法人の定款の定めにない事業を法人の業務として、かつ法人の資材課長等の資格で行った以上、その行為は「法人の業務」に関すると認められ、法人は両罰規定に基づき刑罰を免れない。
問題の所在(論点)
両罰規定の適用要件である「法人の業務に関して」の意義。特に、法人の定款に定めがない事項について従業員が行った行為であっても、法人の業務と認めて法人に刑事責任を負わせることができるか。
規範
両罰規定における「法人の業務に関して」行われた行為とは、必ずしも法人の定款に定められた目的の範囲内の事務に限定されない。従業員が法人の資格において、法人の業務として反復継続して行った取引であれば、たとえ定款外の事項であっても法人の業務性を肯定すべきである。
重要事実
被告人たる森林組合連合会の資材課長Bは、公定価格を超える価格で丸釘二樽を買い受ける等の取引を行った。この取引の一部は、当該連合会の所属組合以外の者との間で行われたものであり、連合会の定款上の事業範囲には含まれていなかった。被告人側は、定款に定めのない所属組合員以外との取引は「法人の業務」に該当せず、法人を処罰することはできないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、資材課長Bは個人としてではなく、あくまで連合会の資材課長という資格に基づき、連合会の業務として取引を行っている。また、当該取引は一度きりのものではなく、反復して行われている。このような客観的状況に鑑みれば、たとえ定款に具体的な定めがない取引内容であっても、実態として法人の業務として遂行されたものと認められる。したがって、Bの行為は連合会の「業務に関して」なされたものと評価するのが相当である。
結論
定款に定めのない行為であっても、法人の資格で法人の業務として行われた以上、法人の業務に関する行為に該当する。したがって、両罰規定による法人の処罰は適法である。
実務上の射程
法人の刑事責任を限定する「定款による制限」の主張を否定した重要な判例である。答案上は、両罰規定の適用において「業務に関し」の要件を検討する際、法人の社会的実態や従業員の肩書き・外形を重視すべき根拠として引用する。民法上の法人代表権の制限論理(民法34条等)が刑事罰の範囲を直ちに制約するわけではないことを示唆している。
事件番号: 昭和24(れ)3199 / 裁判年月日: 昭和24年6月6日 / 結論: 破棄差戻
原判決は「Aに對する副檢事の第一、二回聽取書を通じ同書中同人の供述として買受けの日時の點を除き判示同趣旨の記載」を證據に舉示したこと及所論司法警察官の意見書いついて適法の證據調が爲された形跡がないことは所論の通りである。そして同聽取書を調べて見るに司法警察官作成の意見書記載の犯罪事實を讀み聞けたところ、相違なき旨を述べ…