判旨
共犯者等の一方が不起訴処分となり、他方が起訴されて処罰されるという処遇の差異が生じても、犯人の処罰は各人ごとに妥当な処置が講じられるべきものである以上、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。
問題の所在(論点)
共犯者等の一方が不起訴処分とされた場合に、他方の者を処罰することが憲法14条の法の下の平等に反するか。また、法改正等により統制が廃止されたことが刑訴法411条5号の「刑の廃止」に該当するか。
規範
犯人の処罰は、各犯罪および各犯人ごとに妥当な処置を講ずるべきものである。したがって、犯情の一部において他の犯人と類似する点があったとしても、当該犯人が他の者より重く処罰されることがあっても、直ちに憲法14条の平等原則に違反するものではない。
重要事実
被告人は水飴の価格統制等に関連する罪に問われたが、同一の事件に関与したと考えられるA工業株式会社が不起訴処分を受けた。被告人側は、同社が不起訴となった事情を考慮せずに被告人を裁判することは憲法14条に違反すると主張して上告した。また、判決後に水飴の価格統制が廃止されたことが「刑の廃止」に当たるかどうかも争点となった。
あてはめ
憲法14条違反の主張について、刑事罰の適用は個別の犯人ごとに判断されるべき性質のものであり、共犯者間での処遇の差異は当然に生じ得る。本件でA工業株式会社が不起訴という寛大な処分を受けたとしても、被告人の刑事責任が否定されるものではない。また、価格統制の廃止については、先行する大法廷判決の趣旨に照らし、事実上の状況変化に伴う告示の廃止に過ぎず、法律上の刑の廃止には当たらないと解される。
結論
被告人を処罰することは憲法14条に違反せず、また価格統制の廃止も刑の廃止には当たらない。上告棄却。
実務上の射程
検察官の公訴提起の裁量(起訴便宜主義)を前提とする実務において、共犯者間の不均衡を理由とする憲法違反の主張を排斥する際の論拠として用いられる。また、いわゆる「限時法」的解釈における、事後的な経済状況の変化による規制廃止が刑の廃止に当たらないとする判例法理を確認する際にも参照される。
事件番号: 昭和26(れ)544 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
一 所論食肉に関する価格統制令が憲法第二二条に直ちに違反しないことは、当裁判所の判例の趣旨(昭和二四年(れ)第一八九〇号同二五年六月七日大法廷判決、判例集四巻六号九五六頁参照)に徴して明らかである。従つて食肉価格の統制が、その具体的事象(具体的運営面)においてたとえ論旨のように不完全なものがあつたとしてもこれに違反した…