一 勾留手續に違法があつたとしても其爲に第一審の訴訟手續が全部違法であり且つ無効であるとはいえないばかりでなく、第一審とは別個の訴訟手續である原審の手續までが違法無効となるべきいわれはない。加之原審の手續は保釋中に行われたものであるから、被告人に對する勾留が所論の如き違法があつたとしても原審判決に影響を及ぼさないことが明かである從つて所論の如き違憲違法はない。論旨は理由がない。(昭和二三年(れ)第六五號同年七月一四日大法廷判決參照) 二 新少年法第五二條並に舊少年法第八條は何れも少年に對する刑を成年に對する刑と異つたものにしようとしているものであるから少年に對する特別法の性質を有する實体規定であるといわなければならない。そして犯罪後の法律により刑の變更があつた場合は其輕きものを適用すべきことは刑法第六條によつて明らかであるが、新少年法第五二條と舊少年法第八條とは同趣旨であつて刑の變更は無いから、原決において行爲時法である舊少年法を適用したことは相當であつて所論の如き違法はない。
一 勾留手續の違法と判決の合憲性 二 新少年法第五二條、舊少年法第八條の規定の意義と新舊の刑の變更がない場合における行爲時法の適用
舊刑訴法91條,舊刑訴法411條,憲法34條,少年法52條,刑法6條,舊少年法8條
判旨
勾留手続に違法があっても、直ちに第一審や原審の訴訟手続が無効になるわけではなく、また少年に対する不定期刑の規定は実体法上の規定であり、行為時法を適用した判断に違法はない。
問題の所在(論点)
1.勾留手続の違法が、その後の公判手続および判決の効力に影響を及ぼすか。 2.少年法における不定期刑の規定は訴訟法規か実体法規か。また、法令の改正があった場合にいずれの法律を適用すべきか。 3.酌量減軽を伴う不定期刑の言渡しにおいて、その長期・短期の決定範囲に制限はあるか。
規範
1.勾留手続の違法は、他の救済方法によって争われるべきものであり、別個の訴訟手続である公判手続(第一審・原審)の効力に当然に影響を及ぼすものではない。 2.少年法における不定期刑の規定(旧少年法8条、新少年法52条)は、少年に対する刑の態様を定める実体規定であるから、刑法6条の原則に従い、原則として行為時法が適用される。 3.不定期刑の言渡しにおいて、酌量減軽を行った場合であっても、不定期刑の短期を必ずしも法定刑の減軽後の最低限にする必要はなく、また長期を法定刑の短期未満とする必要もない。
重要事実
被告人は強盗および窃盗の罪に問われ、第一審で旧少年法に基づく不定期刑の判決を受けた。被告人側は、(1)勾留手続に違法があるため訴訟手続全体が無効であること、(2)判決時の法律である新少年法を適用すべきであること、(3)酌量減軽をした以上、不定期刑の長期は法定刑の短期未満でなければならないことを主張して上告した。
あてはめ
1.仮に勾留手続に違法があったとしても、それは独立した救済手続で争われるべきであり、別個の手続である原審の効力を左右しない。特に本件原審は保釈中に行われており、判決への影響は認められない。 2.不定期刑の規定は少年の刑を成年と異ならせる実体規定である。旧法と新法の間に刑の変更はないため、刑法6条に基づき行為時法である旧少年法を適用した原判決は正当である。 3.併合罪加重後の法定刑(5年以上20年以下)に対し、酌量減軽を経て短期を2年6ヶ月、長期を一定の範囲で定めることは裁判所の裁量に属し、長期が法定刑の短期(5年)未満である必要はない。
結論
本件上告を棄却する。勾留の違法は判決に影響せず、実体法規である旧少年法の適用および不定期刑の量刑判断に違法はない。
実務上の射程
手続的違法が判決の妥当性に影響しない限り、公判手続の無効を認めない実務の基本的な立場を示すものである。また、不定期刑規定の実体法的性格を明示し、刑の変更がない場合の行為時法適用の正当性を確認している。答案上は、勾留の違法と公判手続の分離、および少年法の不定期刑に関する量刑の裁量を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)960 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
少年法第五二條は、裁判時における少年に對しその適用あるものであることその前條の規定と對比することにより明白である。
事件番号: 昭和24(れ)789 / 裁判年月日: 昭和24年7月14日 / 結論: 棄却
所論は、第一審判決が与へられるまでに「身体の不当な拘束を必要以上に延引せられたものである」ことは、違法であると主張するのである。しかしながら上告は原則として第二審判決の法令違反を理由とすべきものであつて、かかる第一審判決手続の違法を理由とすることは法律上許されていない。(所論のような違法があるとすればこれに對しては別の…