一 舊少年法第七一條第一項によれば裁判所が審理した結果被告人等に對し保護處分をするのが相當と認めたときは少年審判所へ事件を送付しなければならない。つまり被告人等の對して保護處分をするのが相當であるか否かは事實審の裁量に委せてあるのである。(昭和二三年(れ)第七九五號第一小法廷判決、最高裁判所判例集第二巻第一六一六頁)然らば所論は原審の専權に屬する右裁量事項を攻撃するに歸するのであつて、上告適法の理由とはならない。 二 舊少年法第三一條の少年身上の調査はもとより周到正確を期すべきものであるけれども、調査の方法については法律が別段の規定を設けて制限をしていない以上、裁判所は具體的案件に即して適切と思料する方法によるべきである。(昭和二二年(れ)第三一三號第二小法廷判決、最高裁判所判例集第二巻第三九五頁)從つて裁判所は事案の審理に伴い各般の事情を考えた上公判法廷で被告人に對する直接訊問の方法によつて同條の調査をしても違法というべきではない。
一 舊少年法第七一條第一項の處分に對する裁判所の自由裁量 二 舊少年法第三一條所定の調査をする方法
舊少年法71條2項,舊少年法4條,舊少年法31條,舊小年法64條
判旨
少年法に基づく少年身上の調査は周到正確を期すべきであるが、調査方法に特段の制限はないため、裁判所が公判廷での直接訊問により調査を行うことも適法である。
問題の所在(論点)
少年法上の少年身上の調査について、公判廷での直接訊問による方法が許容されるか。また、医師の診察を重ねて行わなかったことに違法があるか。
規範
少年法(旧法31条)に基づく少年身上の調査は、周到正確を期すべきものであるが、調査方法について法律に特段の制限がない以上、裁判所は具体的案件に即して適切と思料する方法によることができる。また、被告人に対し保護処分を相当と認めて家庭裁判所(旧法下の少年審判所)へ送致するか否かは、事実審の合理的な裁量に委ねられている。
重要事実
被告人(少年)に対し、原審が旧少年法31条所定の調査事項について、専門的な調査機関等を通さず、公判廷における直接訊問の方法によって調査を行った。また、同条2項が定める医師の診察については、原審自らは実施しなかったが、第一審において既にその調査が遂げられていたという事情があった。弁護人は、これらの手続が不十分であるとして上告した。
あてはめ
まず、調査方法については、裁判所が各般の事情を考慮した上で、公判廷で被告人に直接訊問する方法をとることも、適切と思料する方法の範疇に含まれる。本件では、原審公判調書によれば所定の調査事項について十分な取調べが行われている。次に、医師の診察については、第一審で既に調査が完了している場合には、原審において重ねて実施しなかったとしても、調査の周到正確性を欠くものではないと解される。
結論
原審の調査手続に違法はなく、保護処分の相当性判断も原審の合理的な裁量権の範囲内であるため、上告は棄却される。
実務上の射程
少年法上の調査手続の裁量権を認める射程を有する。特に、公判廷での直接訊問が調査に代わり得ること、及び先行する審級の調査結果を流用することの許容性を示しており、手続の弾力的な運用を肯定する際の根拠となる。
事件番号: 昭和24(れ)1790 / 裁判年月日: 昭和24年11月22日 / 結論: 棄却
一 勾留手續に違法があつたとしても其爲に第一審の訴訟手續が全部違法であり且つ無効であるとはいえないばかりでなく、第一審とは別個の訴訟手續である原審の手續までが違法無効となるべきいわれはない。加之原審の手續は保釋中に行われたものであるから、被告人に對する勾留が所論の如き違法があつたとしても原審判決に影響を及ぼさないことが…