一 銃砲等所持禁止令第一條により所持を禁止された刀劍類は刄渡り一五糎以上のものをいうのであつて(銃砲等所持禁止令施行規則第一條第三號参照)それは必ずしも武器たることを要件とするものではなく又それを職業用具として日常使用していたということは毫もその所持を適法化するものではないのである、(昭和二三年(れ)第三四〇號同二三年四月一七日第二小法廷判決参照) 二 憲法にいわゆる殘虐な刑罰とは不必要な精神的肉体的苦痛を内容とする人道上殘虐と認められる刑罰を意味するのであつて被告人側から見て過重と思われる刑必ずしも殘虐な刑罰ということはできないのである。(昭和二三年(れ)第三二三號、昭和二三年六月二三日大法廷判決参照)
一 銃砲等所持禁止令第一條にいう刀劍類を職業用具に使用していた場合における所持の適否 二 憲法第三六條にいわゆる「残虐な刑罰」の意義
銃砲等所持禁止令1條,銃砲等所持禁止令施工規則1條,憲法36條
判旨
憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的・肉体的苦痛を内容とする人道上残虐と認められる刑罰を指し、被告人にとって過重に感じられる刑罰が直ちにこれに該当するわけではない。
問題の所在(論点)
懲役3年の実刑判決という量刑が、憲法36条にいう「残虐な刑罰」に該当し、違憲となるか。
規範
憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的・肉体的苦痛を内容とする人道上残虐と認められる刑罰を意味する。したがって、刑の量定が被告人側から見て過重と思われるものであっても、それが直ちに「残虐な刑罰」に該当するものではない。
重要事実
被告人は、他者と共謀の上で窃盗を行い、また刃渡り15.7cmの短刀を所持していた。これにより窃盗罪および銃砲等所持禁止令違反として起訴された。原審は被告人に対し懲役3年の実刑を言い渡したが、被告人側は、この実刑判決が重すぎると主張し、憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に当たり違憲であるとして上告した。
事件番号: 昭和24(れ)1954 / 裁判年月日: 昭和24年11月22日 / 結論: 棄却
論旨第一點は、原審公判廷において被告人および原審辯護人から、本件犯行當時被告人が腦梅毒のため心神耗弱の常態にあつた旨主張したにかかわらず、原判決が右の主張に對する判斷を示さなかつたのは違法であるというのである。しかし原審の記録を調べて見ると、被告人からの申立というのは、強盜共謀の點についての裁判長の訊問に對して答えると…
あてはめ
本件における懲役3年の実刑という刑罰の内容を検討するに、これは「不必要な精神的・肉体的苦痛を内容とする人道上残虐と認められる」ものとはいえない。被告人は過重な刑であると主張するが、刑の重さに対する主観的な不服は、憲法上の「残虐な刑罰」の定義には合致しない。また、銃砲等所持禁止令の対象となる刀剣類の所持についても、職業用具としての日常的使用という事情は所持を適法化するものではない。
結論
懲役3年の実刑判決は憲法36条に違反しない。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
憲法36条の「残虐な刑罰」の定義を示したリーディングケースであり、死刑制度の合憲性(最大判昭23.3.12)と並び、刑罰の態様に関する違憲審査の枠組みとして重要である。答案上は、特定の刑罰規定や個別の量刑が非人道的であると主張された際に、本規範を定立して「不必要な苦痛」や「人道上の評価」の有無を検討する際に用いる。
事件番号: 昭和23(れ)348 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 棄却
一 原判決は所論の押收物件を犯罪事實認定の證據としないことは判文上明白である。從つて假りに本件の搜索及び押收の手續に所論のような違法(憲法第三五條第一項違反)があつたとしても、それは原判決に影響を及ぼさざること明白であるから上告の理由とはならないものと言はなくてはならない。 二 辯護人においてその點の違法(搜索及び押收…