刑事訴訟法第二條は憲法違反のものでないことは當裁判所判例の示すところである。(昭和二三年(れ)第一五七七號同二四年五月一八日大法廷判決参照)
刑訴施行法第二條の合憲性
憲法13條,憲法14條,刑訴施工法2條
判旨
公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう「自白」には含まれず、補強証拠がなくとも当該自白のみで有罪判決を言い渡すことが可能である。また、自ら管理する建物内に物品を保管し後に売却する行為は、他者の犯行を幇助する従犯にとどまらず、所持罪の本犯が成立する。
問題の所在(論点)
1. 公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう「自白」に含まれ、補強証拠を必要とするか。 2. 自身が管理する建物内に物品を保管し売却した行為は、従犯(刑法63条)にとどまるか、あるいは本犯(正犯)を構成するか。
規範
憲法38条3項及び刑事訴訟法上の自白の補強法則(自白のみによる処罰の禁止)における「自白」とは、公判外の自白を指すものであり、裁判官の面前でなされる公判廷における自白はこれに含まれない。したがって、公判廷での自白があれば、他に補強証拠がなくとも有罪認定の唯一の証拠とすることができる。
重要事実
被告人は、自身が借りている建物内において判示物体を保管し、後にこれを売却した。原審はこの公判廷における被告人の自白を唯一の証拠として有罪判決を言い渡した。これに対し弁護人は、自白のみによる有罪判決は憲法違反であること、及び被告人の行為は他者の犯行を幇助した従犯にすぎないことを主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)2542 / 裁判年月日: 昭和25年3月7日 / 結論: 棄却
昭和二二年政令第一六護號にいわゆる「收受」とは同令第一條所定の財産につき所持即ち實力的支配關係(昭和二三年(れ)第九五六號同二四年五月一八日最高裁判所大法廷判決參照)を承繼的に取得する意味に解すべきである。
あてはめ
1. 憲法38条3項の趣旨に照らせば、公判廷における自白は同条の制限を受けない。本件では原審公判廷で自白がなされており、これを唯一の証拠として有罪を認定した原判決に違憲・違法の瑕疵はない。 2. 被告人は自ら賃借する建物内で物体を「保管」し、さらに「売却」という処分行為に及んでいる。このような態様は、単に他者の犯行を容易にする幇助行為を超えており、所持罪の本犯(正犯)としての実行行為を自ら行っていると評価できる。
結論
公判廷の自白は補強法則の対象外であり、それのみで有罪とすることが可能である。また、保管・売却行為は従犯ではなく本犯を構成するため、刑法63条の減軽を認めなかった原判決は正当である。
実務上の射程
現在は刑事訴訟法319条2項により、公判廷・公判外を問わず「自白」には補強証拠が必要とされているため、本判例の「公判廷自白に補強証拠不要」とする部分は現行法下では通用しない。しかし、保管・売却行為をもって正犯性を認める判断枠組みについては、正犯と共犯の区別の文脈で現在も参照し得る。
事件番号: 昭和26(れ)59 / 裁判年月日: 昭和26年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷における供述は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、補強証拠を要することなく有罪判決の証拠とすることができる。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産に属する薬品「ダイヤヂン」の買受けに関し、盗品等譲受けの罪(または類似の法令違反)で起訴された。被告人は公判廷にお…
事件番号: 昭和26(れ)2005 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が禁止する「自己に不利益な唯一の証拠」による有罪認定について、共同被告人や共犯者の自白は、被告人自身の自白とは別個の証拠として補強証拠となり得るため、これらを総合して有罪を認定することは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Bは窃盗罪等の容疑で起訴された。原審(二審)において、…
事件番号: 昭和25(あ)3387 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が、強制、拷問、脅迫によるものでなく、また不当に長く抑留または拘禁された後のものでない限り、その自白の真実性を裏付けるに足りる補強証拠が存在すれば、自白と併せて事実を認定することができる。 第1 事案の概要:被告人は昭和24年9月13日、窃盗容疑で逮捕状の執行を受け、同日中に警察署で取…
事件番号: 昭和25(あ)2324 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷での自白に、被害者の供述調書や被害届などの証拠を併せることで補強証拠として認め、被告人を唯一の証拠によって処罰することを禁じた憲法38条3項に違反しないとした。 第1 事案の概要:被告人は進駐軍物資不法所持罪等の事実により起訴され、第一審の公判廷において犯行を自白した。第一審裁判所は…