昭和二二年政令第一六護號にいわゆる「收受」とは同令第一條所定の財産につき所持即ち實力的支配關係(昭和二三年(れ)第九五六號同二四年五月一八日最高裁判所大法廷判決參照)を承繼的に取得する意味に解すべきである。
昭和二二年政令第一六護號にいわゆる「收受」の意義
昭和22年政令165號1條2項
判旨
公判廷における自白は、憲法38条3項および刑事訴訟法上の補強証拠を必要とする「自白」には含まれず、それのみで有罪判決の証拠とすることができる。また、証人尋問の要否は裁判所の合理的な自由裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
1. 公判廷における被告人の自白のみをもって有罪判決を下すことは、補強証拠を必要とする憲法38条3項に違反しないか。 2. 申請された証人の尋問を却下することは、証人審問権(憲法37条2項)や公平な裁判を受ける権利(同1項)に違反しないか。
規範
1. 憲法38条3項にいう「自白」とは公判外の自白を指し、裁判官の面前でなされる「公判廷における自白」はこれに含まれない。したがって、公判廷の自白については補強証拠がなくとも有罪の基礎とすることが可能である。 2. 憲法37条2項・1項との関係において、証人採否の決定は裁判所の自由裁量に委ねられており、健全な合理性に反しない限り、すべての証人を取り調べる義務はない。
重要事実
被告人は、当時の政令(昭和22年政令165号)に違反して煙草を収受した罪で起訴された。第一審および控訴審において、被告人は「買受けて所持した」事実を認め、一部を転売し、残余を闇市等で立売りした旨を供述した。原審はこの公判廷における自白のみを証拠として有罪判決を下した。また、弁護人は被告人の情状立証のため証人尋問を申請したが、原審は心証が得られたとしてこれを却下した。被告人側がこれらの手続を憲法違反として上告した事案である。
事件番号: 昭和24(れ)1558 / 裁判年月日: 昭和24年11月1日 / 結論: 棄却
刑事訴訟法第二條は憲法違反のものでないことは當裁判所判例の示すところである。(昭和二三年(れ)第一五七七號同二四年五月一八日大法廷判決参照)
あてはめ
1. 憲法38条3項および刑事訴訟応急措置法10条3項の趣旨に照らせば、公判廷での自白は、虚偽の自白を誘発するおそれが少ない裁判官の前での供述であるため、補強証拠は不要である。本件被告人の公判廷での供述は、所持の承継的取得(収受)を認めるものであり、これのみで事実認定を行うことに違法はない。 2. 証人採否については、原審がすでに記録や供述から被告人の性格・生活状態等について十分な心証を得ていたと推認できる。このような状況下での却下は、裁判所の合理的な裁量の範囲内であり、公平な裁判の構成を害するものではない。
結論
1. 公判廷の自白は補強証拠を要せず、それのみで有罪認定が可能である。 2. 証人申請の却下は裁判所の裁量権の逸脱とはいえず、憲法違反には当たらない。
実務上の射程
本判決(大法廷判決の踏襲)により公判廷の自白については補強法則が適用されないことが確立しているが、現行刑事訴訟法319条2項の下では「公判廷における自白であると否とを問わず」補強証拠が必要とされている。そのため、本判例の「補強証拠不要」とする部分は実務上の意義を失っているが、「証人採否が裁判所の合理的な裁量に属する」という判断枠組みについては、現在も職権証拠調べや証拠決定の裁量論として重要な意義を持つ。
事件番号: 昭和26(れ)59 / 裁判年月日: 昭和26年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷における供述は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、補強証拠を要することなく有罪判決の証拠とすることができる。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産に属する薬品「ダイヤヂン」の買受けに関し、盗品等譲受けの罪(または類似の法令違反)で起訴された。被告人は公判廷にお…
事件番号: 昭和25(あ)3387 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が、強制、拷問、脅迫によるものでなく、また不当に長く抑留または拘禁された後のものでない限り、その自白の真実性を裏付けるに足りる補強証拠が存在すれば、自白と併せて事実を認定することができる。 第1 事案の概要:被告人は昭和24年9月13日、窃盗容疑で逮捕状の執行を受け、同日中に警察署で取…
事件番号: 昭和26(れ)2005 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が禁止する「自己に不利益な唯一の証拠」による有罪認定について、共同被告人や共犯者の自白は、被告人自身の自白とは別個の証拠として補強証拠となり得るため、これらを総合して有罪を認定することは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Bは窃盗罪等の容疑で起訴された。原審(二審)において、…
事件番号: 昭和25(あ)2324 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷での自白に、被害者の供述調書や被害届などの証拠を併せることで補強証拠として認め、被告人を唯一の証拠によって処罰することを禁じた憲法38条3項に違反しないとした。 第1 事案の概要:被告人は進駐軍物資不法所持罪等の事実により起訴され、第一審の公判廷において犯行を自白した。第一審裁判所は…