一 強盜の共謀が住居侵入後になされたものであつても、強盜の行爲が住居侵入をの行爲を引き續き利用して行われたことが明白であるときは、強盜と住居侵入の牽連一罪を構成する。 二 論旨に指摘する公判手續の分離併合が。原裁判所の合議によつて決定されたことの記載が、公判調書中に存在しないことは記録上明らかなところである。しかし元來裁判所の合議の事實は舊刑訴法第六〇條第二項に具体的に列舉されている公判調書の必要的記載事項でない。從つて公判調書合議の點につき何等の記載もないという一事からは必ずしも合議がなされなかつたことを推斷することはできないのである。そして公判手續の分離併合というが如き裁判所のなくべき裁判は通常裁判所の合議を經て裁判長により告知せられるものであるから、特に所論の手續が裁判長の獨斷にいでたことを窺わしむべき事跡の認められない本件においては裁判長の所論宣告は裁判所の合議の結果を宣告したものと解するのが相當である。論旨はそれ故に理由がない。
一 住居侵入強盜の共謀がなされた場合と牽連犯の成否 二 公判手續の分離併合の決定が合議を經てなされた旨の記載が公判調書に存しない場合に裁判長の獨斷の有無
刑法54條1項,刑法236條,刑法130條,舊刑訴法60條2項,舊刑訴法64條
判旨
共犯者の自白は、自己の自白のみで有罪とされないとする補強証拠に当たり、また住居侵入後に強盗の犯意が生じた場合でも、先行する侵入行為を継続利用していれば両罪は牽連犯となる。
問題の所在(論点)
1. 共犯者の供述は、被告人自身の自白に対する補強証拠となり得るか。 2. 食事目的で侵入した後に強盗の犯意を生じた場合、住居侵入罪と強盗罪は牽連犯となるか。
規範
1. 憲法38条3項(旧刑訴法361条)の「本人の自白」には共犯者の供述は含まれず、共犯者の供述は被告人自身の自白に対する補強証拠となり得る。 2. 刑法54条1項前段の「手段結果の関係」(牽連犯)は、犯行の経緯や目的の関連性から判断され、当初は別の目的で侵入した場合であっても、その侵入状態を継続利用して強盗に及んだときは、住居侵入罪と強盗罪は牽連犯の関係に立つ。
重要事実
被告人Aら3名は、空腹から食事の提供を受ける目的で、警察官を装い被害者方に侵入した。しかし、室内に立ち入った後にその場を立ち去るのではなく、そのまま住居侵入の状態を利用して金品を強取しようと共謀し、暴行・脅迫を用いて強盗未遂に及んだ。第一審および控訴審は、共犯者らの供述を総合して被告人の犯意や共謀を認定した。これに対し被告人側は、自白のみによる有罪認定の禁止違反や、住居侵入と強盗は併合罪である旨を主張して上告した。
あてはめ
1. 被告人Aの自白だけでなく、共犯者である共同被告人C・Dの検事聴取書中の供述記載を総合して事実を認定しているため、唯一の証拠である自白によって認定した違法はない。 2. 被告人らは、当初は食事の饗応を受ける目的で被害者宅に侵入したが、引き揚げることなく、その侵入行為を「引き続き利用」して強盗未遂に及んでいる。この場合、住居侵入の行為と強盗未遂の行為との間には、社会通念上、手段と結果の関係が認められる。
結論
1. 共犯者の供述は補強証拠となり得る。2. 本件住居侵入と強盗未遂は、前者の状態を後者が継続利用しているため牽連犯となる。
実務上の射程
自白の補強証拠に関する論証として、憲法38条3項の「本人の自白」に共犯者の供述が含まれないことを示す際に引用する。また、罪数論において、当初は別目的(窃盗や無目的等)で侵入した後に強盗等に及んだ事案で、牽連犯を認めるための「先行行為の利用」という判断枠組みとして有用である。
事件番号: 昭和22(れ)136 / 裁判年月日: 昭和22年12月16日 / 結論: 棄却
犯罪事實の一部について證據として本人の自白があるだけで他の證據がない場合でも、その自白と他の證據を綜合して、犯罪事實全體を認定することは、刑訴應急措置法第一〇條第三項の規定に違反するものではない。
事件番号: 昭和24(れ)28 / 裁判年月日: 昭和24年5月31日 / 結論: 棄却
論旨は、原審は本件の併合罪につき法定の加重をするに當り、窃盜罪と強盜未遂罪との刑の輕重の比較において窃盜罪を重しとしてその刑に法定の加重をしているが、それは違法であるというのである。しかし、同時に刑を加重減輕すべきときには、併合罪の加重は、先だつて法律上の減輕をしなければならないことは、刑法第七二條の規定するところであ…
事件番号: 昭和23(れ)1370 / 裁判年月日: 昭和24年1月11日 / 結論: 棄却
被告人が相被告人と共謀の上、強盜をした事實を認定している原判決において、二人共謀の事實と共犯者のどちらかが現實に脅迫の實行行爲をしたことが判分上明確である以上、共犯者のうちどちらかが現實に實行行爲をしたかを明示していなくても、被告人の「罪トナルヘキ事實」の判示として缺くるところはない。
事件番号: 昭和24(れ)1324 / 裁判年月日: 昭和24年11月10日 / 結論: 棄却
一 數名の強盜犯人が、事前に明示的に強盜することを謀議していた場合ばかりでなく、豫め暗默のうちに強盜をすることを互ひに了解していた場合であつても、又できることなら窃盜だけに止め、止むを得ないときは強盜をする旨打合せていた場合であつてもなお共謀の上強盜をなしたものといい得るのである。 二 舊刑訴法の下では檢察官が公訴を提…