一 然し同一審級の同一公判期日における共同被告人に對しては、刑訴應急措置法第一一條第二項の規定により常に被告人相互に訊問の機會は與えられているのであるから、右條件の下にある共同被告人の公判調書には同法第一二條第一項の適用はないのである。 二 檢事の本件起訴状には明らかに住居侵入の事實についても記載されてあり、たゞ所論指摘のとおりその罪名及び該當法條の記載はないが、舊刑訴法下においては右は適法なる檢事の公訴提起の方式であるから、所論住居侵入の點も亦審判の對象となること勿論のことである。 三 所論刑訴應急措置法第一三條第二項の規定が、憲法第九七條に違反するものではないことは、既に所論引用の當裁判所大法廷の判例とするところであり、その後も引續き當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第一二二一號、同二四年三月二三日大法廷判決參照)。
一 同一審級後同一公判期日における共同被告人の公判調書と刑訴應急措置法第一一條第一項 二 起訴状にその罪名及び適條の記載を欠く住居侵入行爲に對する審判の可否 三 刑訴應急措置法第一三條第二項の合憲性
刑訴應急措置法11條2項,刑訴應急措置法12條1項,刑訴應急措置法13條2項,刑法130條,舊刑訴法291條,憲法97條
判旨
共謀共同正犯において、被告人が他の共犯者と共謀の上、屋内に侵入したという事実が認められるならば、たとえ被告人自身が暴行等の実行行為を直接分担していなくても、強盗の共同正犯としての責任を免れない。また、共同被告人間の量刑は各人の犯状や情状に応じて個別に定められるべきものであり、実行行為の程度の比較のみで不当と断ずることはできない。
問題の所在(論点)
1. 共謀に基づき侵入した者が、暴行等の実行行為を直接行っていない場合に、強盗罪の共同正犯が成立するか。 2. 共同正犯間において、実行行為の程度等の差を理由に量刑の均衡を争うことができるか。
規範
1. 共同正犯の成立要件:他の共犯者との共謀に基づき住居等に侵入した事実が認められる場合、自ら暴力行為(実行行為)を直接分担しなかったとしても、当該犯罪全体の共同正犯としての刑事責任を負う。 2. 量刑の個別性:共同正犯間における量刑の決定は、各被告人個別の犯状および諸般の情状を総合的に考慮して、裁判所の自由裁量により個別に定められるべきものである。
事件番号: 昭和23(れ)1370 / 裁判年月日: 昭和24年1月11日 / 結論: 棄却
被告人が相被告人と共謀の上、強盜をした事實を認定している原判決において、二人共謀の事實と共犯者のどちらかが現實に脅迫の實行行爲をしたことが判分上明確である以上、共犯者のうちどちらかが現實に實行行爲をしたかを明示していなくても、被告人の「罪トナルヘキ事實」の判示として缺くるところはない。
重要事実
被告人Aは、他の共犯者Bらと米を盗む目的で被害者宅を訪れた。被告人は、共謀の上で他者の屋内に侵入したが、自身は建物の外(表)に立っていたに過ぎず、家屋内での暴力行為等の直接的な実行行為には関与していないと主張した。一審は強盗等の事実で懲役5年を言い渡したが、原審(二審)は住居侵入についても審判対象とした上で、懲役4年に減刑した。被告人側は、実行行為への不関与を理由とした強盗罪の否定、および他の共犯者との量刑の不均衡を理由に上告した。
あてはめ
1. 認定された事実によれば、被告人は他の共犯者と共謀した上で屋内に侵入している。この場合、共謀及びそれに基づく一部の実行行為(侵入)に加担している以上、強盗の実行行為(暴行・脅迫)を自ら分担していなくとも、共謀共同正犯の理により強盗罪の責任を負うものと解される。 2. 量刑については、酌量減軽の有無は裁判所の合理的な裁量に属する。共同被告人間の量刑の差は、単なる実行行為の程度だけでなく、それぞれの犯状や個別の情状を総合して判断されるべき事柄であり、実行行為の軽重のみを比較して原判決を不当とすることはできない。
結論
被告人は強盗の共同正犯としての責任を免れず、また原審の量刑判断にも裁量権の逸脱等は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
共謀共同正犯の成立について、現場共謀や一部の予備的行為(侵入等)への関与があれば、中核的な実行行為を分担していなくても正犯性を認める実務上の基礎を示すものである。量刑の個別性についても、共犯者間の相対的な不均衡のみでは直ちに違法とならないことを確認している。
事件番号: 昭和24(れ)1636 / 裁判年月日: 昭和24年10月29日 / 結論: 棄却
共謀の事實が認められる以上は現場において、被告人が自ら暴行脅迫若しくは財物強取の行爲をしなくても、他の共犯者のした強盜の所爲について、共同正犯の責任を兔れることはできない。
事件番号: 昭和24(れ)2466 / 裁判年月日: 昭和25年2月16日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者は他の共謀者の暴行脅迫強取等の實行行爲を通じて自己の犯意が實行に移された以上は、たとい、自分は直接強盜の實行行爲をしなくとも強盜の共同正犯たる罪責を免れえないものであるから共謀者の一人である被告人が判示のごとく見張行爲をした以上判示他の共謀者の脅迫、強奪行爲に對しその責を負うべきものである。されば、原…