強盜の共謀をした者は他の共謀者の暴行脅迫強取等の實行行爲を通じて自己の犯意が實行に移された以上は、たとい、自分は直接強盜の實行行爲をしなくとも強盜の共同正犯たる罪責を免れえないものであるから共謀者の一人である被告人が判示のごとく見張行爲をした以上判示他の共謀者の脅迫、強奪行爲に對しその責を負うべきものである。されば、原審が被告人の見張り行爲について所論のように強盜の共同加功行爲と見るべき程度に達していたか否かを認定判示するところがなく被告人を強盜の共同正犯として處斷したからといつて原判決には所論のような審理不盡又は理由不備の違法あるものとはいえない。
共謀共同正犯の成立――強盜の見張行爲と審理不盡の有無
刑法60條,刑法236條,舊刑訴法410條19號
判旨
強盗の共謀をした者は、他の共謀者の実行行為を通じて自己の犯意が実行に移された以上、自ら直接実行行為を分担せず見張り行為のみを行った場合であっても、強盗の共同正犯としての罪責を負う。
問題の所在(論点)
強盗の共謀をした者が、屋外で見張り行為のみを行った場合に、刑法60条の共同正犯としての罪責を負うか。
規範
共謀共同正犯が成立するためには、共謀の存在に基づき、他の共謀者の実行行為を通じて自己の犯意が実行に移されたといえることを要する。この要件を満たす限り、自ら構成要件に該当する直接の実行行為(暴行・脅迫等)を分担していない者であっても、共同正犯としての責任を免れない。
重要事実
被告人Cは、相被告人A・B・D・Eらと強盗を行うことを共謀した。実行当日、A・B・Eの3名が家屋内に侵入して被害者に対し脅迫・強奪行為に及んでいる間、被告人CはDと共に屋外で見張りを行っていた。弁護人は、Cの見張り行為が強盗の共同加功といえる程度の重要性を持っていたか否かの認定が不十分であると主張して上告した。
あてはめ
被告人Cは他の共謀者らと強盗の共謀を遂げている。共謀に基づき、屋外で見張りという役割を果たすことで、家屋内で実行行為に及んだ他の共謀者らと一体となって犯行に加担したといえる。このように他の共謀者の暴行・脅迫等の実行行為を通じて、被告人C自身の犯意が実現された以上、自ら直接の暴行・脅迫に加わっていなくても、その実行行為全体の責任を負うべきである。したがって、原審が見張り行為を強盗の共同正犯として処断したことに審理不尽や理由不備の違法はない。
結論
被告人は強盗罪の共同正犯として処断される。上告棄却。
実務上の射程
共謀共同正犯の成立を認めた初期の重要判例である。構成要件的実行行為(暴行・脅迫)を直接行っていない「見張り役」であっても、共謀に基づく役割分担が認められれば、他の共謀者の行為を自己の行為として帰せしめることができることを示した。答案上は、共謀の事実と、それに基づく役割分担(心理的・物理的寄与)を指摘して「自己の犯意が実行に移された」と論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和25(れ)1226 / 裁判年月日: 昭和26年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗の実行を謀議し見張り役を担当した者は強盗の共同正犯となり、住居とは別個の店舗であっても、他人の管理する建造物であればその侵入は住居侵入等罪(刑法130条)を構成する。 第1 事案の概要:被告人Bは、他の2名と共に強盗を行うことを謀議した。実際の強盗の実行に際して、Bは現場での実行行為そのもので…
事件番号: 昭和24(れ)2210 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者はたとい自ら暴行脅迫強取等の強盜等行爲を分擔しなくても、他の共謀者がした右強盜等行爲によつて自己の犯罪遂行の意志を實現したものと認められる以上なお共同正犯としての罪責を免れる事のできないものであることは常裁判決屡次の判決に示すとおりであるからたとい被告人において右強盜行爲を分擔しなかつたとしても判示の…