判旨
強盗の実行を謀議し見張り役を担当した者は強盗の共同正犯となり、住居とは別個の店舗であっても、他人の管理する建造物であればその侵入は住居侵入等罪(刑法130条)を構成する。
問題の所在(論点)
1. 強盗の共謀に基づき見張り役を担った者が、実行行為を自ら行わなくとも共同正犯(刑法60条)となるか。2. 居住場所とは別個の店舗であっても、刑法130条にいう「建造物」に該当するか。
規範
1. 複数人が特定の犯罪を共謀し、その一部の者が実行行為を分担した場合、実行行為に直接関与しない見張り役であっても、共謀に基づき犯罪に寄与したといえるため、刑法60条の共同正犯としての責任を負う。2. 刑法130条前段の「建造物」には、現に人が居住する住居に限らず、他人が看守(管理)する建物一切が含まれる。
重要事実
被告人Bは、他の2名と共に強盗を行うことを謀議した。実際の強盗の実行に際して、Bは現場での実行行為そのものではなく、周囲の「見張り」を担当した。また、Bらが侵入した場所は、被害者Cが居住している住居部分とは別個の店舗部分であった。弁護側は、見張り役のみでは共同正犯にならないこと、及び居住実態のない店舗への侵入は住居侵入罪等を構成しないことを主張して上告した。
あてはめ
1. 被告人Bは他2名と強盗を謀議しており、その計画の一環として見張りという役割を分担している。これは強盗罪の実現に不可欠な寄与をしており、正犯意思に基づく共同実行といえる。2. 本件店舗は被害者Cの居住場所ではないが、Cが看守(管理)している建物であることは疑いない。刑法130条は「住居」以外に「看守する建造物」への侵入も処罰の対象としているため、店舗への侵入も同罪の構成要件を充足する。
結論
被告人を強盗の共同正犯として認定処断した原判決に違法はなく、また店舗への侵入が刑法130条の罪を構成するとした判断も正当である。
事件番号: 昭和24(れ)2466 / 裁判年月日: 昭和25年2月16日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者は他の共謀者の暴行脅迫強取等の實行行爲を通じて自己の犯意が實行に移された以上は、たとい、自分は直接強盜の實行行爲をしなくとも強盜の共同正犯たる罪責を免れえないものであるから共謀者の一人である被告人が判示のごとく見張行爲をした以上判示他の共謀者の脅迫、強奪行爲に對しその責を負うべきものである。されば、原…
実務上の射程
共謀共同正犯および住居侵入等罪の客体に関する極めて基礎的な判例である。答案上は、現場で見張りを行った者が「自己の犯罪として実行」したといえるかの検討において、本判決の趣旨(共謀と役割分担)を引用して共同正犯を基礎付ける際に活用する。また、130条の「建造物」の範囲を確定させる際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和26(れ)1676 / 裁判年月日: 昭和26年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数人が強盗を共謀し、そのうちの一人が物置付近で見張りをした場合、実行行為を直接分担していなくても、共謀共同正犯として強盗罪の責任を負う。共同意思の下に役割分担をして犯罪を実現した以上、見張り役も正犯としての罪責を免れない。 第1 事案の概要:被告人Aは、他の共犯者B、C、D、Eと強盗を行うことを共…
事件番号: 昭和24(れ)2210 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者はたとい自ら暴行脅迫強取等の強盜等行爲を分擔しなくても、他の共謀者がした右強盜等行爲によつて自己の犯罪遂行の意志を實現したものと認められる以上なお共同正犯としての罪責を免れる事のできないものであることは常裁判決屡次の判決に示すとおりであるからたとい被告人において右強盜行爲を分擔しなかつたとしても判示の…