一 裁判を公開したことを特に調書に明記する必要のないこと及び公判調書に公開を禁じた旨の記載のない限り公判は公開して行われたものと認むべきものであることは當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二一九號同二三年六月十四日大法廷判決及び同年(れ)第一〇七號同年六月二日大法廷判決)とするところである。 二 共犯者は被告人本人でないから所論の共犯者である第一審、及び原審の相被告人等の司法警察官に對する自白を憲法第三八條第三項にいわゆる被告人本人の自白に包含せしめる理由はない。しかのみならず原判決は所論相被告人等の司法警察官に對する訊問調書の他に、被害者の供述や盜難届等の記載をも證據として判示事實を認定していることは判文上明らかであるから、原判決には所論のような違法はない。
一 公判の公開と公判調書の記載 二 共同被告人の自白と憲法第三八條第三項にいわゆる被告人本人の自白
舊刑訴法60條2項4號,憲法38條3項
判旨
強盗の共謀は場所、日時、方法等が詳細に特定されている必要はなく、共犯者間に強盗を行う意思の連絡があれば足りる。また、実行行為を分担していない共謀者であっても、共謀に基づき他の共犯者が犯行を実行した以上は、強盗の共同正犯としての責任を負う。
問題の所在(論点)
1. 強盗の共謀が成立するために、犯行の具体的な日時、場所、方法等の特定が必要か。 2. 謀議に加わったが実行行為を分担していない者について、共同正犯が成立するか(共謀共同正犯の成否)。
規範
1. 共同正犯(刑法60条)における「共謀」が成立するためには、必ずしも犯行の場所、日時、方法等の細部が特定されている必要はなく、共犯者間に特定の犯罪を行う意思の連絡があれば足りる。 2. 謀議に加わった者は、自ら実行行為を分担しなかったとしても、共謀に基づく犯行が他の共謀者によって実行された場合には、その全責任を負い共同正犯となる(共謀共同正犯の成立)。
重要事実
事件番号: 昭和23(れ)1370 / 裁判年月日: 昭和24年1月11日 / 結論: 棄却
被告人が相被告人と共謀の上、強盜をした事實を認定している原判決において、二人共謀の事實と共犯者のどちらかが現實に脅迫の實行行爲をしたことが判分上明確である以上、共犯者のうちどちらかが現實に實行行爲をしたかを明示していなくても、被告人の「罪トナルヘキ事實」の判示として缺くるところはない。
被告人は、第一審および原審の相被告人らとの間で、強盗を行うことについて謀議を行った。しかし、被告人自身は実際の強盗の実行行為を分担しなかった。原審は、被告人と相被告人らとの間に本件強盗を行う意思の連絡があったと認定し、刑法236条1項、60条を適用して強盗の共同正犯として処断した。これに対し、被告人側は、強盗の計画が特定されていないことや実行行為に関与していないことを理由に、共同正犯の成立を否定して上告した。
あてはめ
1. 本件において、被告人と相被告人との間には、強盗を行うことについての意思の連絡が認められる。共謀の成立には犯罪実行の意思が通じ合っていれば足り、詳細な計画の特定は不可欠ではないため、意思の連絡がある以上、強盗の共謀が成立するといえる。 2. 被告人は強盗の謀議に加わっており、他の共謀者がその謀議に基づいて実際の強盗行為を遂行している。たとえ被告人自身が現場で奪取行為等の実行行為を行っていなくとも、共謀関係に基づいて行われた犯行である以上、その全体について正犯としての責任を免れないと解される。
結論
被告人と相被告人らとの間に強盗の意思の連絡(共謀)があり、それに基づき犯行が行われた以上、実行行為を担当していない被告人も強盗の共同正犯(刑法60条、236条1項)としての責を負う。本件上告は棄却される。
実務上の射程
共謀共同正犯の成立要件のうち「共謀」の内容を簡潔に定義した初期の重要判例である。答案上では、共犯者が現場にいない場合や、計画が抽象的である場合の共同正犯の成立根拠として、「意思の連絡があれば足りる」というフレーズとともに引用すべき射程を持つ。
事件番号: 昭和23(れ)1205 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 棄却
一 被告人は相被告人と共謀して強取行爲をも分擔したものというべく、從つて、假りに所論のごとく被告人は相被告人の兇器所持並びに兇器使用の事實を知らなかつたとしても原判決が證據によらずして強盜共謀の事實を認定した違法ありといえない。 二 犯罪の日時は、法律上別段の定め(例えば日出前又は夜間においてというごとき)のない限り、…
事件番号: 昭和24(れ)1324 / 裁判年月日: 昭和24年11月10日 / 結論: 棄却
一 數名の強盜犯人が、事前に明示的に強盜することを謀議していた場合ばかりでなく、豫め暗默のうちに強盜をすることを互ひに了解していた場合であつても、又できることなら窃盜だけに止め、止むを得ないときは強盜をする旨打合せていた場合であつてもなお共謀の上強盜をなしたものといい得るのである。 二 舊刑訴法の下では檢察官が公訴を提…