既に強盜について共謀のある以上他の共犯者がその強盜の機會において、被害者に傷害を與えた時は、たとえ被告人が所論のごとく、現實にその傷害の原因たる暴行について認識がなかつたとしても被告人もまた、強盜傷人罪の責任を負わなければならないのである。
共謀による強盜の機會に一人の共犯者の爲した傷害に對する他の者の責任
刑法60條,刑法240條
判旨
強盗の共謀がある以上、共犯者がその機会に被害者を負傷させた場合、被告人が具体的な傷害の原因となった暴行を認識していなくても、強盗傷人罪の共同正犯としての責任を負う。
問題の所在(論点)
強盗の共謀に基づき実行が行われた際、共犯者が傷害を生じさせた場合、当該暴行を具体的に認識していない共謀者についても強盗傷人罪(刑法240条前段)の共同正犯が成立するか。
規範
特定の犯罪(強盗)について共謀がある場合、その実行に際して共犯者が結果的加重犯(傷害)に当たる行為に及んだときは、他の共謀者もその具体的暴行を認識していたか否かにかかわらず、その結果(傷人)について共同正犯としての刑事責任を負う。
重要事実
被告人は、他の共犯者4名と強盗を共謀し、その実行に及んだ。その際、共犯者が日本刀や匕首を用いて強盗の用に供し、その結果として被害者に傷害を負わせた。被告人は、自身が直接その傷害の原因となる暴行を認識していなかったとして、強盗傷人罪の成立を争った。
事件番号: 昭和24(れ)8 / 裁判年月日: 昭和24年6月4日 / 結論: 棄却
刑法第二四〇條前段の強盜傷人罪はいわゆる結果犯であるから、強盜の共犯者の一部の者が暴行したため傷害の結果を發生せしめた場合は強盜を共謀した者の全員が強盜傷人罪の責任を免れないことは屡々當裁判所の判例とするところである。
あてはめ
本件において、被告人らは強盗を行うことについて事前に謀議を遂げている。強盗の機会において共犯者が被害者に傷害を与えた事実は証拠により明白である。強盗の共謀が成立している以上、たとえ被告人が現実に傷害の原因となった個別の暴行について認識がなかったとしても、共謀の範囲内にある強盗行為から派生した結果について責任を免れることはできない。したがって、被告人は強盗傷人罪の共同正犯としての責任を負うものと解される。
結論
被告人は強盗傷人罪の共同正犯としての罪責を負う。本件上告を棄却する。
実務上の射程
結果的加重犯の共同正犯に関する重要判例である。基本となる犯罪(強盗)についての共謀があれば、加重結果(傷害)について予見可能性や具体的認識がなくても、当然に重い罪の共同正犯が成立すると判示しており、答案上は共謀共同正犯の責任範囲を画定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1768 / 裁判年月日: 昭和24年12月3日 / 結論: 棄却
被告人はAと強盜を共謀してそれを實行したものであることは原判決の認定するところであり、又原判決舉示の證據により十分にこれを認めることができるしからばその強盜共犯者の一人であうAにおいて被害者Bに對し強盜の機會に傷人の結果を與えたものである以上被告人も亦強盜傷人罪の共同正犯としての責を兔がれないことは當然である(昭和二三…