被告人はAと強盜を共謀してそれを實行したものであることは原判決の認定するところであり、又原判決舉示の證據により十分にこれを認めることができるしからばその強盜共犯者の一人であうAにおいて被害者Bに對し強盜の機會に傷人の結果を與えたものである以上被告人も亦強盜傷人罪の共同正犯としての責を兔がれないことは當然である(昭和二三年(れ)第一一三號昭和二三年五月一日第二小法廷判決参照)
強盜共犯者の一人が加えた傷人の結果に對する他の共犯者の罪責
刑法60條,刑法240條
判旨
強盗を共謀した者がその実行に着手した後、共犯者の一人が強盗の機会に傷人の結果を生じさせた場合、他の共犯者も強盗傷人罪の共同正犯としての責任を負う。
問題の所在(論点)
強盗の共謀に基づき実行に着手した際、共犯者の一人が負傷させた場合、直接加害行為に関与していない他の共犯者にも強盗傷人罪(刑法240条前段)の共同正犯が成立するか。
規範
特定の犯罪を共謀し、その実行に至った場合、共犯者の一人が当該犯罪の機会に生じさせた結果については、共謀の範囲内にある限り、他の共犯者もその重い罪の共同正犯としての責任を負う。
重要事実
被告人は、共犯者Aと強盗を共謀し、これを実行した。その強盗の際、共犯者Aが被害者Bに対して傷人の結果を与えた。
事件番号: 昭和24(れ)8 / 裁判年月日: 昭和24年6月4日 / 結論: 棄却
刑法第二四〇條前段の強盜傷人罪はいわゆる結果犯であるから、強盜の共犯者の一部の者が暴行したため傷害の結果を發生せしめた場合は強盜を共謀した者の全員が強盜傷人罪の責任を免れないことは屡々當裁判所の判例とするところである。
あてはめ
被告人はAと強盗を共謀し、その実行に及んでいる。共犯者Aが「強盗の機会に」被害者Bを傷つけた事実は、共謀に基づく強盗の実行過程で生じたものである。したがって、被告人は自ら直接加害行為を行っていなくとも、Aの行為による結果を免れることはできない。
結論
被告人は強盗傷人罪の共同正犯としての責任を負う。
実務上の射程
強盗致傷罪等の結果的加重犯において、基本犯(強盗)の共謀があれば、過失を含め結果についても共同正犯の責任を負うとする「結果的加重犯の共同正犯」の肯定例として活用できる。答案上は、共謀の事実と、結果が「強盗の機会」に生じたことを指摘すれば足りる。
事件番号: 昭和24(れ)112 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
既に強盜について共謀のある以上他の共犯者がその強盜の機會において、被害者に傷害を與えた時は、たとえ被告人が所論のごとく、現實にその傷害の原因たる暴行について認識がなかつたとしても被告人もまた、強盜傷人罪の責任を負わなければならないのである。
事件番号: 昭和24(れ)293 / 裁判年月日: 昭和24年7月23日 / 結論: 棄却
既に共謀して強盜をした以上、かりに、所論のごとく他の共犯者の暴行の結果たる傷害について被告人に故意、過失がなかつたとしても被告人も、また強盜傷人罪について共同正犯の責を負わなければならないのである。(昭和二三年(れ)第二四九號同年六月一二日第二小法廷判決)