第一回公判期日につき辯護人に對し適法な召喚手續がとられている以上同公判期日に同辯護人が出頭しない場合は特別の事情がない限り裁判所が公判廷において次回公判期日を指定告知すれば足り不出頭の辯護人に對し重ねて舊刑事訴訟法第三二〇條の召喚手續をする必要なく第二回公判以後の公判期日についても順次同様であることは大審院判例の示すところでありまた當裁判所の判例とするところである。記録に徴する原審第六回公判期日には被告人及び遊田辯護人出廷し次回公判期日を指定し且つ之れを告知したことは明らかであるから、第六回公判期日の通知を受けながら當日出頭しなかつたAに對して第七回公判期日を通知しなくとも何等手續に欠くところはなく、從つて不法の辯護權の行使を制限したものではない。
適法な召喚手續がなされたにも拘らず公判期日に不出頭の辯護人に對し重ねて次回期日の召喚手續をなすことの要否と辯護權の不法制限
舊刑訴法320條,舊刑訴法410條11號
判旨
第一回公判期日に適法な召喚を受けた弁護人が、その後の公判期日に不出頭であった場合、裁判所が公判廷において次回期日を指定・告知すれば、不出頭の弁護人に対し重ねて召喚手続をとる必要はない。
問題の所在(論点)
数人の弁護人が選任されている場合において、ある公判期日に不出頭であった弁護人に対し、次回の公判期日を個別に召喚・通知せず、公判廷での告知のみで審理を進めることは、弁護権を不当に制限し違法となるか。
規範
第一回公判期日について弁護人に対し適法な召喚手続がとられている場合、同公判期日に弁護人が出頭しないときは、特別の事情のない限り、裁判所が公判廷において次回公判期日を指定・告知すれば足りる。不出頭の弁護人に対し重ねて個別の召喚手続(旧刑事訴訟法320条相当)をする必要はなく、第二回以後の公判期日についても順次同様である。
重要事実
被告人に対し弁護人Aおよび遊田弁護人が選任されていた。原審第6回公判期日において、弁護人Aは不出頭であったが、裁判所は出席した被告人および遊田弁護人に対し、次回(第7回)公判期日を告知した。第7回公判期日において、弁護人Aには召喚状が送達されておらず、Aは不出頭のまま審理が遂げられ判決が言い渡された。弁護側は、Aに対する期日通知がないまま審理を進めたことは弁護権の不当な制限であるとして上告した。
あてはめ
本件では、記録によれば第6回公判期日の通知を受けながら当日出頭しなかった弁護人Aに対し、同公判廷において被告人及び他の弁護人(遊田)の立ち会いのもと次回期日が指定・告知されている。第一回期日において適法な召喚がなされている以上、第6回期日に不出頭であったAに対し、改めて第7回期日の召喚状を送達しなかったとしても、手続上の欠陥はないと解される。したがって、弁護権を不当に制限したとの評価は当たらない。
結論
弁護人に対する期日指定の告知に瑕疵はなく、不出頭の弁護人に対する再度の召喚を欠いたまま審理を進めた原審の手続は適法である。
実務上の射程
数人の弁護人がいるケースで一部の弁護人が欠席した場合の期日告知の要否を判断する際の基準となる。特に、公判廷での期日告知がなされた場合に、欠席者への個別通知義務が免除される範囲を画定する実務上の指針として機能する(現行刑事訴訟法下における期日指定の運用にも妥当し得る)。
事件番号: 昭和27(あ)621 / 裁判年月日: 昭和28年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が適法に公判期日の通知を受けながら、正当な理由なく出頭しなかった場合には、弁護人の不在のまま手続を進めても違法ではない。 第1 事案の概要:被告人の控訴審において、原審弁護人が適法に公判期日の通知を受けた。しかし、当該弁護人は、客観的に納得できるような正当な理由(首肯し得べき事由)を何ら示す…