判旨
弁護人が適法に公判期日の通知を受けながら、正当な理由なく出頭しなかった場合には、弁護人の不在のまま手続を進めても違法ではない。
問題の所在(論点)
弁護人が公判期日の通知を受けながら正当な理由なく欠席した場合に、弁護人不在のまま行われた訴訟手続に違法があるか(憲法上の弁護人依頼権や刑事訴訟法の規定に反しないか)。
規範
刑事訴訟法上、弁護人の出頭を要する手続(必要的弁護事件等)であっても、弁護人が適法に公判期日の通知を受け、かつ「何等首肯し得べき事由」を示すことなく不出頭であった場合には、そのまま審理を進める手続上の違法は認められない。
重要事実
被告人の控訴審において、原審弁護人が適法に公判期日の通知を受けた。しかし、当該弁護人は、客観的に納得できるような正当な理由(首肯し得べき事由)を何ら示すことなく、指定された公判期日に出頭しなかった。
あてはめ
記録によれば、弁護人は適法な通知を受けており、出頭不能な特段の事情(病気や事故等)を裁判所に申し出ていない。このように、弁護人の責めに帰すべき理由で不出頭となった場合には、裁判所がそのまま手続を進行させたとしても、被告人の防禦権を不当に侵害したとは評価されず、訴訟手続は適法であると解される。
結論
弁護人が正当な理由なく欠席した本件原審の手続に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
必要的弁護事件等において、弁護人の欠席が「正当な理由(首肯し得べき事由)」に基づかない場合には、弁護権の放棄または濫用と評価され、手続進行が許容される。答案上は、弁護人の不出頭を理由とする手続違憲の主張を否定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)6049 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】私選弁護人が公判期日に欠席した場合に、裁判所が国選弁護人を選任して弁論を行わせることは、被告人の弁護を受ける権利を侵害するものではなく合憲である。 第1 事案の概要:被告人が私選弁護人を選任していた事案において、原審の公判期日に当該私選弁護人が欠席した。これを受け、裁判所は国選弁護人を選任し、その…
事件番号: 昭和32(あ)1514 / 裁判年月日: 昭和32年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が適法な公判期日の通知を受けながら正当な理由なく出頭しない場合、裁判所が国選弁護人を選任して審理を進めることは憲法及び刑事訴訟法上適法である。 第1 事案の概要:被告人の原審弁護人は、適法な公判期日の通知を受けていた。しかし、当該弁護人は、何ら正当な理由がないにもかかわらず、指定された公判期…