判旨
私選弁護人が公判期日に欠席した場合に、裁判所が国選弁護人を選任して弁論を行わせることは、被告人の弁護を受ける権利を侵害するものではなく合憲である。
問題の所在(論点)
私選弁護人が公判期日に欠席した場合において、裁判所が国選弁護人を選任して弁論を行わせる手続の適法性および合憲性が問題となる。
規範
被告人が私選弁護人を選任している場合であっても、当該弁護人が公判期日に欠席した際には、裁判所が国選弁護人を選任して訴訟手続を進行させることは、憲法及び刑事訴訟法の要請に反するものではない。
重要事実
被告人が私選弁護人を選任していた事案において、原審の公判期日に当該私選弁護人が欠席した。これを受け、裁判所は国選弁護人を選任し、その国選弁護人に弁論を行わせた上で手続を進行させた。被告人側は、このような手続が違憲であるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審は私選弁護人の欠席という事態に直面し、訴訟の遅延を回避しつつ被告人の防御権を確保するため、国選弁護人を選任して弁論を尽くさせている。このような措置は、被告人の権利を実質的に保障しつつ迅速な裁判を実現するための合理的な手続といえる。したがって、私選弁護人の不出頭という状況下で国選弁護人により弁論を終結させた判断に不当な点は認められない。
結論
私選弁護人の欠席時に国選弁護人を選任して弁論を行わせることは合憲であり、適法である。
実務上の射程
本判決は、弁護人の出頭が不可欠な必要的弁護事件等において、私選弁護人の不出頭による訴訟の停滞をいかに解消すべきかという実務的指針を示すものである。答案上では、被告人の弁護人選任権と訴訟の迅速・円滑な進行の調整の場面で、裁判所の裁量的措置を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)4903 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】私選弁護人が正当な理由なく公判期日に不出頭である場合に、裁判所が職権で国選弁護人を選任して弁論を行わせる手続は、被告人の利益を不当に害さない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が選任した私選弁護人は、適法な公判期日の通知を受けたにもかかわらず、原審の第一回公判に出頭しなかった。また、当該弁護…
事件番号: 昭和32(あ)1514 / 裁判年月日: 昭和32年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が適法な公判期日の通知を受けながら正当な理由なく出頭しない場合、裁判所が国選弁護人を選任して審理を進めることは憲法及び刑事訴訟法上適法である。 第1 事案の概要:被告人の原審弁護人は、適法な公判期日の通知を受けていた。しかし、当該弁護人は、何ら正当な理由がないにもかかわらず、指定された公判期…
事件番号: 昭和40(あ)2639 / 裁判年月日: 昭和41年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において私選弁護人が出頭不能となった際、裁判所が職権で国選弁護人を選任して更新手続等を行い、被告人が異議を述べなかった場合、弁護権の侵害(憲法37条3項違反)には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の私選弁護人は控訴審第1、2回公判に出頭し、事実を争わず量刑不当のみを主張する弁論を行った。…