判旨
判決宣告期日が適法に通知されている場合、弁護人が出頭しないまま判決を宣告しても、弁論を不当に制限したことにはならず適法である。
問題の所在(論点)
結審後の判決宣告期日に弁護人が出頭しなかった場合において、裁判所が弁論を再開せずに判決を言い渡すことは、弁護人の弁論権を不当に制限する違法(刑訴法上の手続違反)に当たるか。
規範
判決宣告期日において、事前に適法な期日通知がなされているのであれば、弁護人が出頭しないまま判決を言い渡したとしても、特段の事情がない限り弁論の再開を命じる義務はなく、弁論権を制限する違法も存在しない。
重要事実
原審は、弁護人立会いの下に審理を遂げ結審した後、判決宣告期日を指定した。その後、宣告期日を延期したが、延期後の期日についても弁護人に対して適法な通知がなされていた。しかし、指定された宣告期日に弁護人は出頭せず、裁判所はそのまま判決を言い渡した。
あてはめ
本件では、判決宣告期日およびその延期後の期日のいずれについても、その都度弁護人に対して適法な通知がなされている。それにもかかわらず弁護人が出頭しなかったという事実関係の下では、裁判所が弁論を再開したり、弁護人の出頭を待たずに宣告したりしたとしても、弁論を制限した事実は認められないと評価される。
結論
原審の手続に違法はなく、適法である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
判決宣告期日への弁護人の出頭は、必要的弁護事件であっても判決の言い渡し自体には必須ではないとする実務上の運用の基礎となる判例である。通知を尽くした上での欠席は、弁護人自らの責任に帰すべきものであり、手続保障上の瑕疵とはならないことを示している。
事件番号: 昭和25(あ)3333 / 裁判年月日: 昭和26年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出期間経過後に弁護人が選任されたため提出ができなかった場合でも、被告人自身に照会への回答を怠るなどの帰責事由があれば、当該不提出を違法とはいえない。 第1 事案の概要:被告人は、原審において裁判所から早期に弁護人選任の要否に関する照会を受けていた。しかし、被告人はこの回答を怠り、控訴…
事件番号: 昭和26(れ)521 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
旧刑訴法事件の控訴審において、必要的弁護事件につき、弁護人の立会なしに審理判決したときは、刑訴第四一一条第一号に該当する。
事件番号: 昭和26(れ)1735 / 裁判年月日: 昭和27年3月7日 / 結論: 棄却
原審における第二回以後の公判期日が被告人の弁護人静永世策に通知せられなかつたことは所論のとおりである。しかしながら右は所論のように違憲の問題として採り上げるべきではないのみならず、同弁護人は第一回公判期日の呼出を受けながら正当の理由もなく右期日たる昭和二六年二月五日原審の公判に出頭せず、被告人は、別に弁護人安達勝清、藤…
事件番号: 昭和26(れ)177 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下において、弁護人が主張した上告趣意が単なる量刑不当に帰する場合、それは適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が上告を申し立て、上告趣意書を提出した。しかし、その主張内容は実質的に原判決の量刑が重すぎるという不当性を訴えるものであった。 第2 問題の所在(論点…