旧刑訴法事件の控訴審において、必要的弁護事件につき、弁護人の立会なしに審理判決したときは、刑訴第四一一条第一号に該当する。
刑訴第四一一条第一号に該当する一事例
刑訴法411条1号,旧刑訴法334条
判旨
必要的弁護事件において弁護人の立会いなく審理・判決を行うことは、法令違反であり、かつ判決に影響を及ぼすべき著しい正義に反するものとして破棄事由となる。
問題の所在(論点)
必要的弁護事件において、弁護人の不在下で行われた審理および判決が、判決に影響を及ぼすべき法令違反として、上告審における職権破棄事由(刑事訴訟法411条1号)に該当するか。
規範
必要的弁護事件とされる被告事件において、弁護人の立会いなくして開廷し、審理および判決を行うことは、訴訟手続の規定に違反する。このような手続上の瑕疵は、判決に影響を及ぼすべき法令の違反に該当し、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる(刑事訴訟法411条1号参照)。
重要事実
被告人が公文書偽造、同行使、詐欺の罪で起訴された事件について、刑事訴訟法施行法2条および旧刑事訴訟法334条に基づき、本件は必要的弁護事件に該当していた。しかし、原審(控訴審)は、弁護人が立ち会わない状態で開廷し、審理を継続した上で判決を言い渡した。
あてはめ
本件は法律上、弁護人の出頭がなければ開廷できない必要的弁護事件である。それにもかかわらず、原審が弁護人の立会いなくして開廷し、審理・判決に至った手続は、明白に旧刑訴法334条の規定に違反する。このような重大な手続違反は、被告人の防御権を著しく侵害するものであり、判決の結果に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、著しく正義に反するものとして原判決を破棄すべき事由があると解される。
結論
原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
本判決は、必要的弁護事件(現行法289条1項)における弁護人出頭の不可欠性を強調したものである。答案上は、必要的弁護事件において弁護人が欠けたまま審理が行われた場合、それが絶対的控訴理由(379条)のみならず、上告審における職権破棄事由(411条1号)となり得ることを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1735 / 裁判年月日: 昭和27年3月7日 / 結論: 棄却
原審における第二回以後の公判期日が被告人の弁護人静永世策に通知せられなかつたことは所論のとおりである。しかしながら右は所論のように違憲の問題として採り上げるべきではないのみならず、同弁護人は第一回公判期日の呼出を受けながら正当の理由もなく右期日たる昭和二六年二月五日原審の公判に出頭せず、被告人は、別に弁護人安達勝清、藤…
事件番号: 昭和26(れ)1421 / 裁判年月日: 昭和26年9月25日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】必要的弁護事件において、弁護人が出頭しないまま被告人質問や証拠調べ等の実質的な審理を行うことは、訴訟手続の法令違反であり、判決の破棄事由となる。 第1 事案の概要:被告人は偽造公文書行使及び食糧緊急措置令違反の罪で起訴された。本件は短期1年以上の懲役にあたる必要的弁護事件であったが、控訴審の第2回…
事件番号: 昭和24(れ)238 / 裁判年月日: 昭和24年11月30日 / 結論: 棄却
一 裁判が迅速を欠いたかどうかということは場合によつては係官の責任の問題を生ずるかも知れないけれども、そのため判決破毀の理由となるものではないこと當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第一〇七一號事件昭和二三年一二月二二日大法廷言渡判決) 二 所論憲法上の權利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所、檢察官等…