判旨
必要的弁護事件において、弁護人が出頭しないまま被告人質問や証拠調べ等の実質的な審理を行うことは、訴訟手続の法令違反であり、判決の破棄事由となる。
問題の所在(論点)
必要的弁護事件において、弁護人が欠席したまま証拠調べや論告等の審理を行うことは、訴訟手続の法令違反(旧刑訴法410条10号、現行刑訴法379条・289条1項)に該当するか。
規範
死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件(必要的弁護事件)においては、弁護人が出頭しなければ開廷することはできず、弁護人の欠席した状態で実質的な審理を行ってはならない。
重要事実
被告人は偽造公文書行使及び食糧緊急措置令違反の罪で起訴された。本件は短期1年以上の懲役にあたる必要的弁護事件であったが、控訴審の第2回公判において、選任されていた弁護人が不出頭であるにもかかわらず、裁判所は開廷を強行した。その際、被告人に対する尋問、証拠調べ、検察官の論告、及び被告人の最終陳述が行われ、その後の第3回公判で判決の宣告がなされた。
あてはめ
本件は刑法155条1項等が適用されるべき必要的弁護事件である。記録によれば、第2回公判において弁護人が不出頭である事実に疑いはない。それにもかかわらず、当該期日にて被告人質問や証拠調べ、論告といった公判の核心部分にわたる審理が実施されている。これは、弁護人の立ち会いなしには審理を行うことができないとする法律の規定に明白に違反するものである。
結論
弁護人抜きでの審理は違法であり、原判決を破棄し、事件を東京高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
現行刑訴法289条1項及び379条の解釈において重要となる。必要的弁護事件において弁護人の欠席は絶対的控訴理由(379条)となるため、実務上、弁護人が不出頭の場合には期日を延期するか、職権で弁護人を選任しなければならないという鉄則を裏付ける判例である。
事件番号: 昭和26(れ)521 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
旧刑訴法事件の控訴審において、必要的弁護事件につき、弁護人の立会なしに審理判決したときは、刑訴第四一一条第一号に該当する。
事件番号: 昭和26(れ)1735 / 裁判年月日: 昭和27年3月7日 / 結論: 棄却
原審における第二回以後の公判期日が被告人の弁護人静永世策に通知せられなかつたことは所論のとおりである。しかしながら右は所論のように違憲の問題として採り上げるべきではないのみならず、同弁護人は第一回公判期日の呼出を受けながら正当の理由もなく右期日たる昭和二六年二月五日原審の公判に出頭せず、被告人は、別に弁護人安達勝清、藤…