公判期日の指定は文書でなければならぬという法令の規定は別段存在しないから、裁判長は適宜の方法をもつて期日の指定をしても差支えない。
公判期日指定の方法
刑訴法320條1項
判旨
公判期日の指定に書面は要さず、裁判長は適宜の方法で指定できる。また、適法な召喚を受けた弁護人が欠席しても、弁護人抜きで審理可能な事案において他方の弁護人が出席していれば、結審しても弁護権の不当な制限には当たらない。
問題の所在(論点)
公判期日の指定に書面や厳格な形式が必要か。また、適法に召喚された複数の弁護人のうち一部が欠席した状態で結審することが、弁護権を不当に制限する違法な手続に当たるか。
規範
1. 公判期日の指定については、文書で行わなければならない旨を定める法令の規定は存在しないため、裁判長は適宜の方法をもって期日の指定をすることができる。2. 弁護人の立会いなくして審理し得る事件において、適法な召喚を受けた弁護人が個人的事由で出廷しない場合、他の弁護人が出席している状況下で結審することは、弁護権の不当な制限には当たらない。
重要事実
被告人および弁護人らに対し、11月13日の公判期日召喚状が送達された。記録上、期日変更に関する署名捺印のないゴム印の記載(11月12日への変更案)が存在したが、送達報告書および実際の公判調書によれば、11月13日に公判が開廷されていた。当日、弁護人1名は出廷したが、もう1名の弁護人(塚本)は出廷しなかったため、裁判所はそのまま審理を進め結審した。被告人側は、期日指定の手続違法および弁護権の制限を理由に上告した。
あてはめ
まず、公判期日の指定について、法令上文書であることを要する規定はなく、本件では召喚状送達報告書や公判調書の記載から、11月13日が適法な期日として指定されていたと認められる。次に、欠席した弁護人塚本に対しても適法に召喚状が送達されていたことから、不出廷は同人の個人的な事情(怠慢等)によるものと評価される。本件は弁護人の立会いが絶対的条件ではない事案であり、かつ、もう一人の弁護人が出廷して被告人両名を弁護していたことから、審理を尽くさず結審したとの誹りは免れ、適法な手続といえる。
結論
公判期日の指定および弁護人欠席下の結審に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判長の期日指定権の裁量と、公判期日の適法な通知(召喚)がある場合の弁護人欠席時の処理を判示したもの。必要的弁護事件でない場合における、弁護人の権利行使と裁判所の訴訟進行の調整の基準として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)1164 / 裁判年月日: 昭和28年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が公判期日の指定を事前に認識していたと認められる場合には、当該期日に公判を進行しても、弁護権を制限する違法な手続とはいえない。 第1 事案の概要:弁護人は、昭和28年1月19日に福岡高等裁判所宮崎支部宛てに同年2月25日の公判期日請書を提出したと主張して弁護権の制限を訴えた。しかし、記録上そ…
事件番号: 昭和26(あ)3162 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 破棄差戻
控訴審が、指定した公判期日を被告人及び私選弁護人に通知せず同弁護人不出頭のまま審理を終結し、判決宣告期日に有罪判決を言い渡したときは、たとえ国選弁護人を選任して私選弁護人提出の控訴趣意書に基いて弁論したときでも、弁護権の不法制限であり刑訴第四一一条第一号にあたる。