判旨
弁護人が公判期日の指定を事前に認識していたと認められる場合には、当該期日に公判を進行しても、弁護権を制限する違法な手続とはいえない。
問題の所在(論点)
弁護人が主張する公判期日と実際の指定期日が異なる状況において、裁判所が指定した期日に公判を進行させることが、被告人の弁護権を不当に制限し、刑事訴訟法上の違法を構成するか。
規範
公判手続において弁護権の制限が問題となる場合、公判期日の指定およびその通知が適正に行われ、弁護人が防御の準備をなす機会を実質的に保障されていたか否かによって判断する。
重要事実
弁護人は、昭和28年1月19日に福岡高等裁判所宮崎支部宛てに同年2月25日の公判期日請書を提出したと主張して弁護権の制限を訴えた。しかし、記録上そのような証跡は認められず、逆に同年1月16日の時点で、第1回公判期日が同月23日と指定されていることを弁護人が知ることができた状況(記録表紙裏の指定一覧表による)であった。
あてはめ
記録によれば、弁護人は裁判所が指定した1月23日の期日を1月16日の時点で認識し得る状態にあり、適正に期日の指定がなされていたといえる。弁護人が主張する「2月25日の期日請書」の存在は証跡がなく認められないため、裁判所が1月23日に手続を進行したことに、弁護人の防御権を侵害するような手続上の違法は存在しないと解される。
結論
本件公判手続に弁護権を制限した違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
公判期日の通知や指定に関する手続的違法を争う際、記録上、弁護人が期日を認識し得たかどうかが判断の分水嶺となる。実務上は、裁判所による期日指定の適法性と、それに対する弁護側の認識の有無を記録に基づいて具体的に検討する際の指標となる。
事件番号: 昭和27(あ)4928 / 裁判年月日: 昭和29年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠同意がある場合には、証拠調べ手続に違法があるとの主張は認められず、また証人尋問決定に際し公訴事実を明確にする目的が示されていれば尋問事項は明白であるとして、訴訟手続の適法性を認めた。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において上告した事案。弁護人は、(1)原審が証人喚問に際し訴訟関係人の意見を…