判旨
被告人の冒頭陳述を証拠として事実認定に用いることは適法であり、更新手続の要否については新刑事訴訟法施行後の基準に従うべきである。
問題の所在(論点)
被告人の冒頭陳述を証拠として事実認定の基礎に供することができるか。また、長期間開廷しなかった場合に公判手続の更新を要するか(旧刑事訴訟法下での手続の成否)。
規範
被告人が公判の冒頭において行う陳述(冒頭陳述)については、これを証拠として犯罪事実を認定する基礎とすることが認められる。また、公判手続の更新については、昭和24年1月1日以降、15日以上開廷しなかった場合であっても、必ずしも更新を要するものではない。
重要事実
被告人が公判冒頭において自らの主張や事実関係について陳述(冒頭陳述)を行った。原審はこの陳述を証拠として採用し、他の証拠と併せて有罪の犯罪事実を認定した。また、公判期日の間隔が15日以上空いていたが、原審は公判手続の更新を行わずに審理を継続し、判決を言い渡した。これに対し、被告人側が証拠採用の適法性および更新手続の欠如を理由に上告した事案である。
あてはめ
本件において、原審は被告人の冒頭陳述を証拠として挙示し、事実認定を行っているが、これは証拠法の原則に照らし許容される。また、更新手続に関しては、大法廷判例の趣旨に従い、昭和24年以降の運用においては15日以上の間隔があっても更新は不要である。さらに、原審の公判調書によれば旧刑訴法134条の必要な手続(被告人への質問等)も十分に経ていると認められる。したがって、原審の判断に違法はない。
結論
被告人の冒頭陳述を証拠として事実認定することは差し支えない。また、公判手続の更新を要しないとした原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における「被告人の供述」の証拠能力に関する初期の判断を示す。現代の刑事訴訟法下においても、被告人の公判供述が証拠となる点は共通するが、冒頭陳述という形式での証拠採用の限界を確認する際に参照される。更新手続については現行法315条等の解釈の前提となる歴史的判断である。
事件番号: 昭和25(れ)1929 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
被告人に甲、乙両弁護人がある場合、公判調書に甲弁護人は別紙弁論要旨に基いて弁論をなしたと記載してあるのに、同公判調書の末尾に編綴してある同弁護人の弁論要旨には相被告人の弁論のみ記載してあつて、直接被告人の弁論に触れた事項が記載してなくても、右公判調書によれば乙弁護人が甲弁護人とともに同公判に出廷し、被告人のために詳細な…