高等裁判所のなした保釋請求却下決定に對する即時抗告は裁判所法第七條、刑訴應急措置法第一八條に該當しないことは明白であり、他に本件のような抗告を最高裁判所に申立てることを許した法律の規定はないから本件抗告は不適法であるといわなければならない。
高等裁判所のなした保釋請求却下決定に對する即時抗告の適否と刑訴應急措置法第一八條による特別抗告
裁判所法7條,刑訴應急措置法18條,舊刑訴法457條
判旨
裁判所法7条に規定される「訴訟法において特に定める抗告」とは、法律が特に最高裁判所に対して申し立てることができると明記した抗告のみを指す。法律に特別の規定がない抗告を最高裁判所に申し立てることは不適法である。
問題の所在(論点)
裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」の意義、および最高裁判所に対する抗告申立ての適法性が問題となる。
規範
裁判所法7条の「訴訟法において特に定める抗告」とは、刑訴応急措置法18条(当時)のように、法律が最高裁判所に対して直接申し立てることを特に認めた抗告のみを意味する。かかる明文の根拠規定がない限り、最高裁判所は抗告についての裁判権を有しない。
重要事実
抗告人が、具体的な事案(詳細は判決文からは不明)につき最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件において、最高裁判所への抗告を可能とする法律上の個別規定は存在しなかった。
事件番号: 昭和23(つ)14 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外抗告をすることは許されないものであることは既に當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(つ)第七號、同年一二月八日決定)。
あてはめ
本件抗告は、刑訴応急措置法18条のような、法律が特に最高裁判所に申し立てることを許容した規定には該当しない。また、他に本件のような抗告を最高裁判所に申し立てることを認めた法律上の規定も存在しない。したがって、裁判所法7条の要件を欠くといえる。
結論
本件抗告は法律上の根拠がなく不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
最高裁判所の管轄権の範囲を厳格に解釈するものであり、現在の刑事訴訟法下における特別抗告(433条)以外の不服申し立ての可否を検討する際の基礎となる。裁判所法上の「訴訟法において特に定める」という文言の厳格な解釈指針として機能する。
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…
事件番号: 昭和23(つ)9 / 裁判年月日: 昭和23年9月30日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條第二號によれば最高裁判所は特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告(日本國憲法施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律第一八條)についてのみ裁判權を有するものである(昭和二二年(つ)七號、二二年一二月八日決定)
事件番号: 昭和23(つ)33 / 裁判年月日: 昭和24年2月9日 / 結論: 棄却
原審は、なお勾留繼続の必要ありとして保釈申請却下の決定をしたのである。これに對し論旨は本件被告人に對しては逃亡又は罪證湮滅の虞は全然ないのだから、これに對し保釈を許さないのは不當だというのである。これは結局右の虞ありや否に關する原審の事實認定を批難するに歸着するから當裁判所に對する特別抗告の理由としては適法でない。