裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
裁判所法第七條第二號の法意
裁判所法7條2號
判旨
裁判所法7条に規定される「訴訟法に於て特に定める抗告」とは、訴訟法において最高裁判所の権限に属するものと明示された抗告のみを指し、原則として高等裁判所の決定等に対する抗告は含まれない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が下した保釈申請却下決定に対し、最高裁判所へ直接抗告を申し立てることが認められるか。裁判所法7条にいう「訴訟法に於て特に定める抗告」の意義が問題となる。
規範
裁判所法7条における「訴訟法に於て特に定める抗告」とは、訴訟法上、最高裁判所の権限に属するものと特に定められた抗告を指す。したがって、訴訟法に特別の定めがない限り、高等裁判所の決定及び命令に対する不服申立ては、憲法違反等の特定の事由を問題とするものでない限り、最高裁判所への抗告として受理されない。
重要事実
弁護人が被告人のために保釈申請を行ったところ、原審(高等裁判所)がこれを却下する決定を下した。弁護人はこの却下決定を不服として最高裁判所に抗告を申し立てた。なお、抗告理由において原決定が憲法に適合するか否かについての判断を争う内容は含まれていなかった。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
あてはめ
本件抗告は、弁護人が保釈申請を却下した高等裁判所の決定を不服とするものである。しかし、刑事訴訟法等の訴訟法上、このような保釈に関する高裁の決定に対して、特に最高裁判所の権限に属せしめる旨の規定は存在しない。また、論旨自体から、原決定における憲法判断の不当性を問題とするものでないことも明らかである。よって、本件は裁判所法7条の「特に定める抗告」には該当しないといえる。
結論
本件抗告は、最高裁判所が管轄権を有する適法な抗告とはいえず、不適法として棄却すべきである。
実務上の射程
刑事訴訟において、高等裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告は、現行法上の特別抗告(刑訴法433条)等、憲法違反や判例抵触を理由とするものに限定されるという上訴権の範囲を画定する際の基礎的な解釈指針として機能する。
事件番号: 昭和26(し)68 / 裁判年月日: 昭和26年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした保釈請求却下決定に対しては、同裁判所に異議の申立てをなすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が下した保釈請求却下決定を不服とし、当該決定に対して最高裁判所へ直接特別抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):高等裁判所…
事件番号: 昭和23(つ)14 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外抗告をすることは許されないものであることは既に當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(つ)第七號、同年一二月八日決定)。
事件番号: 昭和23(つ)9 / 裁判年月日: 昭和23年9月30日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條第二號によれば最高裁判所は特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告(日本國憲法施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律第一八條)についてのみ裁判權を有するものである(昭和二二年(つ)七號、二二年一二月八日決定)
事件番号: 昭和24新(つ)92 / 裁判年月日: 昭和25年2月2日 / 結論: 棄却
高等裁判所のなした保釋請求却下決定に對する即時抗告は裁判所法第七條、刑訴應急措置法第一八條に該當しないことは明白であり、他に本件のような抗告を最高裁判所に申立てることを許した法律の規定はないから本件抗告は不適法であるといわなければならない。