裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
裁判所法第七條二號の法意
裁判所法7條2號
判旨
裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法上特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を指し、これに当たらない高等裁判所の決定に対する不服申し立ては不適法である。
問題の所在(論点)
高等裁判所がした保釈取消決定に対し、最高裁判所への抗告が認められるか。裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」の意義が問題となる。
規範
裁判所法7条2号に規定される「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものとして明文で規定された抗告のみを指す。したがって、憲法違反を理由とする特別抗告(刑事訴訟法433条)など、特定の特別規定がない限り、高等裁判所の決定や命令に対して直接最高裁判所へ抗告することはできない。
重要事実
被告人が、高等裁判所による保釈取消決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。被告人は、公判期日に出頭できなかったのは不可抗力によるものであるから、不出頭を理由とする保釈取消は違法であると主張した。
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
あてはめ
本件抗告の理由は、保釈取消の事由となった公判不出頭が不可抗力によるものであるという事実誤認ないし不当性を争うものであり、憲法適合性の判断を問題にするものではない。また、保釈取消決定に対する抗告を特に最高裁判所の権限に属せしめた訴訟法上の規定は存在しない。したがって、本件は「訴訟法において特に定める抗告」に該当しないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
裁判所法上の最高裁判所の管轄権を画定する基準を示す。刑事訴訟における上訴の適否を検討する際、特に高等裁判所の決定に対する不服申立てについては、法433条の特別抗告の要件(憲法違反・判例相反)を満たすか、あるいは他の特別の定めがある場合に限定されることを確認する実務上の意義がある。
事件番号: 昭和22(つ)4 / 裁判年月日: 昭和22年12月8日 / 結論: 棄却
裁判所法第77条第二號にいう訴訟法において特に定める抗告とは、民訴應急措置法第七條又は刑訴應急措置法第十八條に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいうのであつて、その他の高等裁判所の決定及び命令に對する抗告を含まない。
事件番号: 昭和25(し)51 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 棄却
高裁がなした保釈取消決定に対する本件特別抗告はこれを不適法として棄却すべきものである。
事件番号: 昭和32(し)43 / 裁判年月日: 昭和32年9月21日 / 結論: 棄却
裁判所法七条二号にいう訴訟法において特に定める抗告とは刑訴応急措置法一八条に定める抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を謂いその他の高裁の決定及び命令に対する抗告を含まない。
事件番号: 昭和26(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年8月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。 第1 事案の概要:恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により…