高裁がなした保釈取消決定に対する本件特別抗告はこれを不適法として棄却すべきものである。
高等裁判所がなした保釈取消決定に対する特別抗告の適否
刑訴法428条1項,刑訴法433条1項
判旨
裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法上特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告のみを指す。したがって、憲法適合性の判断が含まれず、かつ法律上の特別の定めがない限り、高等裁判所の決定に対する抗告は最高裁判所の管轄に属しない。
問題の所在(論点)
裁判所法7条に規定される、最高裁判所が管轄する「訴訟法に於て特に定める抗告」の範囲が問題となる。具体的には、保釈取消決定に対する抗告のように、訴訟法上に最高裁判所を管轄裁判所とする旨の特段の規定がない高等裁判所の決定が、同条の「抗告」に含まれるか。
規範
裁判所法7条の「訴訟法に於て特に定める抗告」とは、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を指す。これに該当しない高等裁判所の決定及び命令に対する抗告については、憲法判断(憲法違反または憲法解釈の誤り)を理由とする場合を除き、最高裁判所が管轄権を有することはない。
重要事実
抗告人は、高等裁判所がなした保釈取消決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。なお、本件抗告の理由は、原決定における憲法適合性の判断が不当であるという点を含むものではなかった。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
あてはめ
本件において、抗告人の主張自体から明らかなように、原決定における法律・命令・規則等の憲法適合性に関する判断は問題とされていない。また、刑事訴訟法その他の訴訟法上の規定を確認しても、保釈取消決定に対する抗告を特に最高裁判所の権限に属せしめる旨の特別の定めは存在しない。したがって、本件抗告は、裁判所法7条が定める最高裁判所の管轄する抗告の要件を満たさないものと評価される。
結論
本件抗告は、最高裁判所の権限に属しない不適法なものとして棄却されるべきである。
実務上の射程
最高裁判所に対する抗告(特別抗告・跳躍抗告等)の適法性を検討する際の基礎的な解釈指針となる。特に刑事手続における中間的な決定等に対し、憲法違反を伴わずに最高裁への出訴を認めるか否かの峻別に用いられる。
事件番号: 昭和22(つ)4 / 裁判年月日: 昭和22年12月8日 / 結論: 棄却
裁判所法第77条第二號にいう訴訟法において特に定める抗告とは、民訴應急措置法第七條又は刑訴應急措置法第十八條に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいうのであつて、その他の高等裁判所の決定及び命令に對する抗告を含まない。
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和26(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年8月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。 第1 事案の概要:恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により…
事件番号: 昭和32(し)43 / 裁判年月日: 昭和32年9月21日 / 結論: 棄却
裁判所法七条二号にいう訴訟法において特に定める抗告とは刑訴応急措置法一八条に定める抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を謂いその他の高裁の決定及び命令に対する抗告を含まない。