裁判所法第77条第二號にいう訴訟法において特に定める抗告とは、民訴應急措置法第七條又は刑訴應急措置法第十八條に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいうのであつて、その他の高等裁判所の決定及び命令に對する抗告を含まない。
裁判所法第七條第二号の法意
判旨
裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、憲法適否の問題等、法律により特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告のみを指す。高等裁判所の決定・命令に対する抗告一般はこれに含まれず、憲法判断を含まない保釈取消決定に対する抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
保釈取消および保証金没収の決定に対する抗告が、裁判所法7条2号の「訴訟法において特に定める抗告」として最高裁判所の裁判権に属するか、その解釈範囲が問題となった。
規範
裁判所法7条2号の「訴訟法において特に定める抗告」とは、同法16条2号や24条3号等の規定との対比、および最高裁判所の使命・任務の重要性に鑑みた負担軽減の趣旨から、訴訟法等において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた特定の抗告(憲法適否を理由とするもの等)を意味する。したがって、これに該当しない高等裁判所の決定及び命令に対する抗告は、最高裁判所の裁判権に属さない。
重要事実
被告人は、保釈中に住所制限違反を理由として保釈を取り消され、保証金全部を没収する旨の決定を受けた。これに対し弁護人は、被告人が実際には住所制限に違反しておらず、別件の犯罪嫌疑も不当であること、保証金没収が生活を困窮させることなどを理由として、最高裁判所に抗告を申し立てた。この抗告理由には、憲法違反に関する主張は含まれていなかった。
あてはめ
本件抗告の理由は、保釈取消の前提となる事実誤認や不当性を主張するものであり、原決定が憲法に適合するか否かの判断を争うものではない。裁判所法7条2号及び関連する応急的措置法等の規定によれば、最高裁判所が裁判権を有するのは憲法適否の判断が含まれる場合に限られるところ、本件はこれに該当しない。よって、本件抗告は最高裁判所が受理できる「特に定める抗告」には当たらないといえる。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
結論
本件抗告は不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
最高裁判所に対する抗告(特別抗告・跳躍上告等を除く)の適法性を判断する際の基本原則を示す。高等裁判所の決定に対する不服申立てにおいて、単なる事実誤認や不当を理由とする場合は受理されず、憲法問題等の法律上の特定事由が必要であることを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和25(し)51 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 棄却
高裁がなした保釈取消決定に対する本件特別抗告はこれを不適法として棄却すべきものである。
事件番号: 昭和32(し)43 / 裁判年月日: 昭和32年9月21日 / 結論: 棄却
裁判所法七条二号にいう訴訟法において特に定める抗告とは刑訴応急措置法一八条に定める抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を謂いその他の高裁の決定及び命令に対する抗告を含まない。
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和26(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年8月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。 第1 事案の概要:恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により…