判旨
最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。
問題の所在(論点)
保釈取消および保証金没取の決定に対し、法律に特別の定めがない場合に最高裁判所へ抗告を申し立てることができるか。
規範
最高裁判所に対する抗告は、法律により特に最高裁判所への抗告が許容されている場合(刑訴応急措置法18条等)に限られる。これに該当しない事項についての抗告は、裁判権の範囲外として認められない。
重要事実
恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により保釈取消および保証金没取の決定を受けた。Aは、制限住居を離れたのは別事件での勾留によるものであり自由意思に基づかないこと、および逃亡の恐れがないことを理由に、当該決定を不服として最高裁判所に抗告を申し立てた。
あてはめ
被告人Aの申し立ては、保釈取消等の実体的な理由(不当性)を争うものであるが、これについて最高裁判所に直接抗告を申し立てることを許容する特段の法的根拠は存在しない。抗告申立書の内容を照らしても、刑訴応急措置法18条のような特別に許容された抗告には該当しないことが明らかである。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
最高裁判所への直接の抗告(特別抗告を除く)の許容性を厳格に限定する趣旨である。実務上、下級審の裁判に対する不服申し立ての経路は法廷の抗告・再抗告手続に従うべきであり、直接最高裁を管轄とする抗告は法的根拠が不可欠である点を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和25(し)66 / 裁判年月日: 昭和26年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の組織構成において偏頗の恐れがないことを意味し、個別の事件で被告人に不利益な裁判がなされたことのみをもって直ちに同条項違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人は恐喝等被告事件において保釈を許可されていたが、前橋地方裁判所太田支部は、被告人が保…
事件番号: 昭和22(つ)4 / 裁判年月日: 昭和22年12月8日 / 結論: 棄却
裁判所法第77条第二號にいう訴訟法において特に定める抗告とは、民訴應急措置法第七條又は刑訴應急措置法第十八條に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいうのであつて、その他の高等裁判所の決定及び命令に對する抗告を含まない。
事件番号: 昭和24(つ)80 / 裁判年月日: 昭和24年10月27日 / 結論: 棄却
一 記録によれば、被告人Aに對する窃盜被告事件は新刑訴法の施工前に公訴の提起があつたものであるから、刑訴施行法第二條により舊刑訴法及び刑訴應急措置法によつて處理さるべきものである。されば高松高等裁判所のした保釋取消決定に對しては新刑訴法第四二八條の適用はないのであるから、同裁判所に對して異議の申立をなし得る限りでない。…
事件番号: 昭和25(し)51 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 棄却
高裁がなした保釈取消決定に対する本件特別抗告はこれを不適法として棄却すべきものである。