一 記録によれば、被告人Aに對する窃盜被告事件は新刑訴法の施工前に公訴の提起があつたものであるから、刑訴施行法第二條により舊刑訴法及び刑訴應急措置法によつて處理さるべきものである。されば高松高等裁判所のした保釋取消決定に對しては新刑訴法第四二八條の適用はないのであるから、同裁判所に對して異議の申立をなし得る限りでない。從つて本件異議の申立を文字通り異議の申立と解するならば不適法として却下さるべきは當然である。 二 當裁判所に對しては刑訴應急措置法第一八條のように、特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外抗告をすることを許されていないのであることは當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(つ)第七號同年一二月八日決定参照)
一 新刑訴法施工前に公訴の提起された事件につき高等裁判所のなした保釋取消決定に對する異議申立の適否 二 保釋取消決定に對して最高裁判所に抗告を申立ることの適否
舊刑訴法456條,刑訴應急措置法18條,刑訴法428條,裁判所法7條2号
判旨
旧刑事訴訟法の適用を受ける事件において、高等裁判所のした保釈取消決定に対しては、新刑事訴訟法428条に基づく異議の申立ては認められない。また、最高裁判所への抗告は、刑訴応急措置法等により特別に許された場合に限定される。
問題の所在(論点)
新法施行前に公訴提起された事件において、高等裁判所の保釈取消決定に対し、新法428条の異議申立てをなし得るか、また最高裁判所への抗告が認められるか。
規範
1. 新刑事訴訟法の施行前に公訴が提起された事件は、刑訴施行法2条により旧刑事訴訟法及び刑訴応急措置法が適用される。2. 高等裁判所の決定に対し、新法428条に基づく異議の申立てを行うことはできない。3. 最高裁判所に対する抗告は、刑訴応急措置法18条等で特に許された場合に限り認められる。
重要事実
事件番号: 昭和26(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年8月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、特別に認められた場合(刑訴応急措置法18条等)を除き、原則として抗告を申し立てることはできない。本件の保釈取消及び保証金没取の決定に対する抗告は、かかる特別の許容事由に該当しないため不適法である。 第1 事案の概要:恐喝被告事件で保釈中であった被告人Aは、東京高等裁判所により…
被告人Aに対する窃盗被告事件は、新刑事訴訟法の施行前に公訴が提起された。高松高等裁判所が保釈取消決定を下したところ、これに対して異議の申立てがなされた。原審(高松高裁)はこの申立てを最高裁判所に対する抗告として取り扱った。
あてはめ
本件は新法施行前の公訴提起事件であり、施行法2条に基づき旧法等が適用される。したがって、新法428条に基づく異議申立ては認められず、文字通りの異議申立てとしては不適法である。また、本件申立てを最高裁判所への抗告と解釈したとしても、刑訴応急措置法18条等の特別の規定に該当しない限り、最高裁判所への抗告は許されない。本件の抗告内容は、これら特別に許容された場合に該当しないことが明白である。
結論
本件異議申立ては不適法であり、これを抗告とみなしても最高裁判所への抗告権を認める特別の事由がないため、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
法の不遡及および経過措置に関する判断であり、旧法適用事件における不服申立手段の限定を確認したものである。現代の答案作成上は、刑事訴訟法の改正時における経過規定の解釈や、不服申立制度の法定性の議論において参照される可能性がある。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和25(し)51 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 棄却
高裁がなした保釈取消決定に対する本件特別抗告はこれを不適法として棄却すべきものである。
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…
事件番号: 昭和23(つ)14 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外抗告をすることは許されないものであることは既に當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(つ)第七號、同年一二月八日決定)。