判旨
高等裁判所がした保釈請求却下決定に対しては、同裁判所に異議の申立てをなすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告をすることはできない。
問題の所在(論点)
高等裁判所がした保釈請求却下決定に対し、異議の申立てを経ることなく直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることの可否。
規範
高等裁判所の決定に対する不服申立てについては、当該裁判所に対して異議の申立てをなし得ることとなっている場合には、その不服申立てを優先すべきであり、直ちに最高裁判所への特別抗告を申し立てることは許されない。
重要事実
申立人は、高等裁判所が下した保釈請求却下決定を不服とし、当該決定に対して最高裁判所へ直接特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法上、高等裁判所がした保釈請求却下決定に対しては、当該高等裁判所に異議の申立てをなし得ると解される。したがって、本件のように異議申立ての手続きをバイパスして直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、法が予定する不服申立手続の順序に反するものといえる。
結論
高等裁判所の保釈請求却下決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告をすることはできないため、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
高等裁判所を第一審または控訴審とする事件における中間的な決定(裁判所の決定)の不服申立てにつき、刑事訴訟法428条2項等の異議申立てが可能な場合には、特別抗告の要件である「不服を申し立てることができない決定」に該当しないことを示す。答案上は、不服申立手続の適法性を検討する際の基礎的な論理として用いる。
事件番号: 昭和29(し)26 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした保釈却下の決定は、刑訴法428条に基づき異議の申立てが可能であるため、同法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」には当たらず、直接の特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:被告人(抗告人)に対し、高等裁判所が保釈却下の決定を行った。これに対し、被告人が直接、最高裁…
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…
事件番号: 昭和46(し)38 / 裁判年月日: 昭和46年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審たる高等裁判所がした保釈却下決定に対し、刑訴法433条の特別抗告を直接申し立てることは許されず、同法428条に基づき当該高等裁判所に異議の申立てをすべきである。 第1 事案の概要:1. 控訴審たる高等裁判所が保釈却下決定を行った。 2. これに対し、申立人は高等裁判所への異議申立てを行わず、…
事件番号: 昭和28(す)536 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、抗告をすることが許されないだけでなく、これに代わる異議の申立てをすることも許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却の決定(刑訴法414条、386条2項)に対し、不服として異議の申立てを行った。なお、具体的な事案の内容については…